ザッツ・ホェア・イッツ・アット/スタンリー・タレンタイン
2021/11/19
タレンタイン節
タレンタインには、演歌でいう“こぶし”がある。
フレーズの語尾につける、ちょっとしたビブラートや、ヒネリ。
これがあるだけで、「ああ、タレンタインっていいなぁ」と思わせるほど、この“こぶし”は非常に強力で、唯一無二のものだ。
この“こぶし”は、とても男臭いが、決して、クドくはない。
ブルーでダークなムードをより一層際立たせるのに一役買っている。
それゆえ、極論すれば、タレンタインの吹く曲は、すべからく、煤けた蒼色。かつ、ブルージー。
だから、この盤のように、共演者がたとえ西海岸側のピアニスト、レス・マッキャンだとしても、東海岸の蒼いムードが演奏全体を支配する。
もっとも、マッキャン自身もそうとうにブルージーなピアニストではあるので、彼らの異色の組み合わせの成功は、アルフレッド・ライオン(ブルーノートのプロデューサー)が見込んでいたものなのかもしれない。
ド迫力なジャケ写のくすんだ蒼のごとく、サウンドもすばらしくも蒼黒いジャズに仕上がっている。
記:2010/06/08
album data
THAT'S WHERE IT'S AT (Blue Note)
- Stanley Turrentine
1.Smile, Stacey
2.Soft Pedal Blues
3.Pia
4.We'll See Yaw'll After While, Ya Heah
5.Dorene Don't Cry
6.Light Blue
Stanley Turrentine (ts)
Les McCann (p)
Herbie Lewis (b)
Otis Finch (ds)
1960/12/16