令和ポップなテイスト漂う『人間失格 太宰治と3人の女たち』

   

『モンク・スタディーズ』が頭によぎった

先日、蜷川実花監督、小栗旬主演の『人間失格 太宰治と3人の女たち』の試写会に行ってきました。

太宰をめぐる3人の女は、津島美智子と太田静子と山崎富栄。

太宰の妻、津島美智子を演じるのは宮沢りえ。
太宰治の本名は津島修治ですからね。

太田静子を演じるのは沢尻エリカ。
『斜陽』のモデルとなり、太宰の子どもを授かった女性ですね。

山崎富栄を演じるのは二階戸ふみ。
玉川上水で太宰治と入水自殺を遂げた女性ですね。

内容は?というと、実話ベースをもとにした蜷川ワールド全開という感じでしたね。

それはさながら、セロニアス・モンクの楽曲をエレピ、シンセを駆使して軽やかに現代風にプレゼンテーションした、山中千尋の『モンク・スタディーズ』に出会った時のような気分でした。

偉大な音楽家でありピアニスト、セロニアス・モンクの作品を知れば知るほど、丁寧に時代の重みのようなアクの成分を掬い取った『モンク・スタディーズ』の軽やかさが心地良く感じる。

それと同様に、太宰の作品と彼が生きた戦後日本を知れば知るほど、この映画が湛える絢爛な蜷川テイストが「令和ポップ」に軽やかに換骨奪胎された心地よさを感じるのです。

成田凌、千葉雄、瀬戸康史、高良健吾、藤原竜也などの若手豪華キャストが出演。しかしながら、彼ら個々の俳優の熱演が一つの作品として統括、収斂しきれていないと指摘する向きもあるかもしれませんが、たしかにその通りかもしれませんが、俺的にはそういうことはどうでもいいの。

令和的昭和の戦後の空気を楽しませてもらえたから。

ちなみに、エンディングソングは東京スカパラダイスオーケストラでももちろん悪くなかったんだけど、個人的には椎名林檎ちゃんだともっとよかったかななどと勝手に妄想しております。《迷彩》や《茎(STEM)》、つまり『加爾基 精液 栗ノ花』あたりのテイストの。
それか、初期のエゴラッピン、『満ち汐のロマンス』あたりのテイストの楽曲とかね。

ちょっとベタ過ぎますかね?
どうも、男性ヴォーカルよりも女性の声が欲しかったな、個人的には。

それはそうと、限界まで原料に挑んだセクシー小栗旬の姿を拝みたい方は、2019年9月13日より公開されるので観に行こう!

記:2019/08/15

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