アフロ幻想組曲/バーデン・パウエル
2016/11/26
奄美大島「サウンズ・パル」のtakaraさんは、バーデン・パウエル好きなレコード屋さんでも有名だ。
某氏の音楽レビューでも熱のはいった原稿を書かれておりました(というか書かせたのは私だったような……・笑)。
なので、私も以前、takaraさんのバーデン熱が飛び火したせいか、バーデン・パウエルのCDを買って聴いてみたが、正直、最初は、まったく受け付けなかった。
勝手にイメージしていた、おしゃれで涼やかなボサノヴァギターとはほど遠い、野性的なギターのパワーに押されてしまったのだと思う。
若かりし日、パーカッションも叩いていたこともあったという経歴からも、バーデン・パウエルのギターからは、「弦」の要素以上に、「打」の要素を強く感じる。
これが、オーソドックスなボサノヴァスタイルのギターとは一線を画する、彼ならではの野性味なのかもしれない。
最初にロバート・ジョンソンを聴いたときに、まったく受け付けなかった私だが、何年もつきあっているうちに、気がつけば病みつきになってしまっていた。
バーデン・パウエルの音楽も、それに近い。
最近、少しずつバーデンの音が私に近づいてきた。
いや、私の受信感度がバーデンのエリアにまで拡張してきたのかもしれない。
彼の猛々しさすら感じるパーカッシヴな奏法の魅力に気がつくと、月並みだが「なんてスゴいギターなんだろう」と感じざるをえない。
特に代表作とされる『アフロ幻想曲』の揺らぎはどうだ。
情熱的でありながらもたくみに計算されたであろう精緻なハーモニー。
頭でっかちでは決してなく、頭脳と腕力を両方手に入れてしまった、手のつけようもない不良中年の音楽とでもいうべきか。
2000年に亡くなった彼が3年前に東京で遺したこの音は、若い頃の演奏をも凌ぐ、どこか神がかったオーラと凄味がある。
●収録曲
1.アフロ幻想組曲
2.悲しみのサンバ
3.ビリンバウ
4.カーニバルの朝
5.イパネマの娘
6.いそしぎ
7.オデオン
8.バッハのインベンション
9.作品第1番
10.インテホガンド (ジョンゴ)
11.小さな前奏曲
12.アデリータ
13.メイラに捧げるショーロ
14.盲目のアデラウド
15.サンバ・ノーボ
記:2004/06/05