アトミック・カフェ/試写レポート
2019/08/29
シニカルな視線と、ブラックなユーモア精神
『華氏911』で話題のマイケル・ムーアに、ドキュメンタリー映画の作り方を教えたケヴェン・ラファティの作品。
なんと、この人、ブッシュの従兄弟なのだという。
ケヴェンの他に、弟のピアース、そしてジャーナリストで小説家のジェーン・ローダーも制作編集に加わっている。
内容は、1940年代から50年代にかけてアメリカ政府や軍の広報が一般国民に向けて作った原水爆についての啓蒙映像を再編集し、そのアホさ&トホホさ加減を笑い飛ばそうという試みで、シニカルな視線と、ブラックなユーモア精神が貫かれている。
核爆弾がピカッとなった瞬間の避難の仕方、
シェルターの使い方の説明、
兵士や軍関係者の無知っぷり、
「放射能は危険ではない」と繰り返す関係者など、
笑えたり、笑うに笑えない映像が盛りだくさん。
しかし、やはり日本人としては、広島、長崎への投下の場面は冷静になって見ることは出来なかった。
原爆を落として「興奮した」と語るパイロット。
嬉しくて、上空を旋回してたくさん皆で写真を撮ったよ、だと?
ふざけんじゃねーよ、この野郎、
だが、
彼も命令されて、命令を遂行した、一介の軍人に過ぎず、拳の振り下ろし先が果てしなくボヤける。
いやぁな気分と、「はぁ」とため息をつきながら試写会場を出た。
1982年に製作されたドキュメンタリー映画だが、今秋にリバイバル公開となる。
観た日:2004/08/10
記:2004/08/21
movie data
製作年 : 1982年
製作国 : アメリカ
監督・制作・編集:ケヴィン・ラファティ、ジェーン・ローダー、ピアース・ラファティ
配給:竹書房
公開 : 9月下旬よりユーロスペース(レイト)にて公開予定