バンド活動に向かない人間

      2019/07/19

zombie

バンドやるなら「演奏力」以外にも「バンド力」が必要

「バンド力(ばんどりょく)」と、楽器が上手い下手の「演奏力」は似て非なるものだ。

「バンド力」のある人とバンドを組むに越したことはない。

そして、自分自身、「バンド力」のある人間を目指すべきだ。

では、「バンド力」の無い人間とはどんな人だろう。

思いつくままに列記すると、だいたいこんな感じ。

 1:約束を破る人間
 2:時間に遅れる人間
 3:向上心の無い人間
 4:基礎練習をおろそかにする人間
 5:言い訳人間
 6:スタジオ練習を個人練習と勘違いしている人間

1は、言語道断。バンド以前に、人間としての問題だ。即刻縁を切るべきだ。

2は、に含まれる事柄だが(1>2)、スタジオでの練習に遅刻するような人間。

メンバーはそれぞれ、忙しい時間をやり繰りしてスタジオに来ているわけだ。

彼らに対して、自分一人のルーズさが、どれだけの実害を与えているのかを自覚出来ない人間は「バンド力」が無い。

その人間がスタジオに来ていない間も、料金は発生しているわけだ。時間も浪費されていくわけだ。

そういうことを認識できないわけだから、「コスト意識」が無いと断じざるを得ない。

だから、この意識の無い人間は、きっと仕事に於いても仕事の出来ない無能人間な可能性が高い。

30分遅刻なら、30分に値するスタジオ料金は遅刻した人間が支払うべきだし、それぐらいの意識は持つべきだ。

それ以前に、遅刻することが分かった時点で、即刻メンバーに遅刻する旨は連絡することが最低限のマナーだ。しかし、だからといって、それを何度も繰り返すと信用を失うことは言うまでもない。次の待ち合わせは、メンバーの中では、一番早く来るぐらいのフォローの精神は見せるべきだ。

「約束の変更は、それが分かった時点で連絡」
「ミスのフォローは必ずする」

これって、ビジネスマナーの基本中の基本と言われていることだが、ビジネスに限らず、人間としてのマナーだとも私は思うのだが。

「プロと違って、アマチュアだから」「お遊びだから」という意識があるのかもしれない。

プロは、約束を守らなかった時点で、次からは永遠に仕事が回ってこなかったりする場合もあるので、時間を守ることは当たり前のことなので、ここでは置いておく。

私は、プロではなくアマチュアだからこそ、約束も時間もキチンと守るべきだと思うのだが、いかがなものだろうか?

「遊び」だからこそ、遊びに参加する者同士は、最低限のマナーや約束を守らねば、タガが外れたどうしようも無い状態になることは必至。ルールを守るからこそ、「遊び」も楽しいものとなるのだ。

しかし、アマチュアだと「どうせ趣味だから」という甘え心が芽生えやすい。

しかし、だからといって、「趣味」を理由に、相手の時間を奪う権利は、誰も持っているはずがないのだ。

3は、言語道断。

別に練習の鬼になる必要はさらさら無いし、露骨に「やったるでぇ!」的な鬱陶しい気合いのオーラを振りまく必要も無いが、向上心の無い人間との練習は、やはり、つまらない。自分のためにならない。

一生懸命個人練習をしても、それがバンドの活動において、なんの見返りもなかったら、これほど時間の無駄遣いも無いだろう。

男女関係もそうなのかもしれないが、最初は何も分からずお互いが夢中でも、少し時間が経てば、相手が、常に自分の刺激となる要素や、自分はこうしよう!と思わせる要素を持っていないと、相手に飽きるのも早いと思う。

ノンベンダラリとダベる状態だけが好きな人もいるので、必ずそうだ、とは言い切れないが。

4。これも3と重なるが(3>4)、基礎練習をおろそかにする人間は、絶対にある段階で行き詰まる。

楽器演奏の技術が停滞してしまった人間を相手に、いくこちらの練習成果をぶつけても、何も跳ね返ってこない。

もちろん、人間、誰しもスランプな時期はあるので、上達している期間と、上達が停滞する期間の波はあるが、バンドで演っている曲以外の地味な基礎訓練をしている人は、スランプの時でも、出てくる音の「良い・悪い」の振幅は少ないはずだ。

理想は、練習で音を合わせるたびに、「あ、この人、以前より良くなったな」と思わせてくれる人。毎回は難しいが、それでも地道に練習を重ねていれば、本人は気付かずとも、周囲のメンバーのほうが、その人から発散される自信や、変化したポイントを敏感に察知するものなのだ。

だから、5の「言い訳人間」だが、「俺、全然練習してないんだよ」の一言は無用だ。

音を聴けば「練習した、しない」は、本人が言い訳をせずとも周囲にバレてしまうものなのだから。

社会人でバンドを組んでいる人などは、仕事が忙しくて練習をする時間がとれないことだってあるだろう。そんなことは、メンバーも承知していることだと思う。

大事なことは、練習しなかったら、しなかったなりに、他の練習してきたメンバーに対して、出来るだけ迷惑をかけないようベストを尽くすことではないだろうか?

もし、その「俺、全然練習していないんだよ」の「練習していない」が、時間があるのに俺は“あえて”練習していないのだ、といったニュアンスが含まれている場合は、その人は単なるバカか、ナマケモノか、時間の使い方を知らない無能人間だ。

3の「向上心の無い人間」と重なるので、やはり「バンド力」の無い人間といえよう。

6の「楽器をガチャガチャ鳴らす人間」は、初心者に多いような気がする。つまり皆で合わせたことが少ない人。

ついつい、嬉しさで無邪気に、演奏が終わった後の打ち合わせの時間も楽器の練習を始めてしまう。

しかし、家でも出来ることは家でやりなさい。

また、こういう人、ドラマーにも多い。

彼らの言い分として、「だって、自宅にはドラムセットがないし」とか、「家では思いっきり叩けないから、せめてスタジオでぐらいはたくさん叩きたい」というものがあるが、勘違いもはだはだしい。

だったら、スタジオを借りて個人で練習しなさい。ここは、あなた一人の練習の場じゃないのだから(当たり前すぎだよね)。

家では練習出来ないことを理由に、ここぞとばかりにドタバタ叩くようなドラマーは、「バンドで音を合わせるために、メンバーがお金を出し合って借り、練習をする場」だということが分かっていない。

「スタジオで個人練習する時間も金もない」というドラマーもいるかもしれないが、そういう楽器を選んだのはアナタ自身ではありませんか。

楽器との接し方の根本的なところから考え直したほうが良いのでは無いのか?と言ってあげた方が本人のためなのだろうけど、言っても分からなそうな場合は、やめてもらった方が手っ取り早いだろう。概してそういうことを言う人は、ロクなプレイをしないことが多いのだ。

たしかに日本の住宅事情から考えるに、ドラムを自宅で思いっきり叩けるような環境で生活している人は恵まれた人だと思う。

多くの人は、仮にドラムを持っていたとしても、思いっきり叩けば、近所迷惑になることは想像に難くない。

ドラム以外にも、同じことはサックスなどの管楽器奏者の人たちにも言えることだと思う。

しかし、「そういう楽器」を選んでしまった以上は、そのような環境下で、いかに自分がやりたい練習をするのかを考えるべきだとも思うのだ。

管楽器の人は河原や公園で練習をしている人が多い。自宅の一部を防音ルームに改装した人もいる。

ドラマーの場合は、電子ドラムや練習用パッドを購入する人もいるだろうし、電話帳の真ん中を射抜くように、ひたすらスティックで左右のコンビネーションを練習している人もいる。またスネアの上に雑巾をかぶせて音をミュートしながら練習に励んでいる人だっているだろう。
バンドの練習開始の1時間前に、スタジオの個人練習ルームを借りてウォーミングアップをしておくというのも手だ。

自宅で気軽に鳴らせない楽器を選んでしまった以上は、色々な練習方法を考えるべきなのだ。

そう考えると、スタジオの「アンサンブルを目的とした場」で個人練習を始めてしまうようなドラマーは、自分の楽器との付き合い方や、練習方法すらも考えられない(考えようとしない)、オツムの弱い人と断じざるを得ないので、やはり一緒にバンド活動を続けることは控えたほうが賢明だと思う。

ドラムって、肉体的なイメージの強い楽器なのかもしれないが、実際は、かなり頭も使う楽器なのだ。

「演奏力」と「バンド力」は違うと冒頭に書いた。

いくら、演奏がうまくても、上に書いたようなことで足を引っ張るような人はバンド活動の足を大いに引っ張る可能性がある。

仮にその人の実力が秀でていたとしても、バンドにおいては、うまいプレイヤーだけが頑張れば良い演奏になるわけではない。

4人だったら4人、5人だったら5人の人数で、築き上げるもの、作り上げるもの、練り上げるものがアンサンブルなのだ。

もちろん楽器演奏がうまい人がいた方が、締まった良い演奏になる可能性は高い。

しかし、これは私個人の考えだが、実力が「10」の人が一人だけいるバンドよりかは、各々の実力が「6」か「7」でもいいから、きちんと全員が同じ目標と向上心を持って、マナーとルールを守りながら地道に努力を重ねるバンドの方が「良い音」を持っていると思う。

実力はあるけど、上記のことが出来ないような人間(=「演奏力」有り、「バンド力」無し)は、たまにセッションをしたりして、刺激を受ける程度の付き合いで良いと思っている。

一口にバンドといっても、様々なタイプがあると思う。

プロを目指している「完全プロ指向(笑)」なバンドもあれば、楽しく仲間内で活動できればそれで良いバンドまで。

ちなみに、私が現在組んでいるバンドは、プロは目指してはいないが、出来るだけライブ活動は多くこなそうという趣旨で活動している。

バンドによっても、活動趣旨や目標は全く違うとは思うが、私が書いてきた、守るべきルールについては、すべてのタイプのバンドに当て嵌まる事柄だ。

そう、お気づきの方も多いと思うが、「バンド力」は、「人間力」でもあるのだ。

「人間力」の無い“動物さん”や、“妖怪くん”とではなく、出来ることなら“人間様”とバンドを組みたいものですネ。

記:2001/12/24(from「ザ・ベース道」)

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