ベースの音色の変化~一貫しているつもりでも、少しずつ変化していることに気がついた。
2018/01/14
ある人に、自分が出たライブの映像をダビングして送るために、しばらくぶりに、ここ3年ぐらいの間の自分のライブの映像をプレイバックしてみた。
3年の間には30回以上のライブをやっているので、すべての映像記録は手元にないにせよ、それでも記録の残っている映像に目を通すには膨大な時間を費やしてしまったが、「オレってこんなことも演っていたんだっけ!?」と、忘れていた記憶が蘇ってきたりもして、楽しいひと時だった。
ほとんどフレットレスのジャズベース一本で、ジャズからポップス、変態即興音楽から懐かしのヒットナンバーまでと、まぁよく色々なことを演ってきたものだと思うと同時に、音色が今の音色と随分と違うことに気がついた。
今も昔も弾いているのは同じベースなのだが、随分と円やかな音で弾いていたんだなぁということに驚く。
私は、ジャズベースを弾いているにもかかわらず、ジャコ・パストリアスのようにカリカリとした音色で弾くのにはちょっと抵抗があることに関しては、今も昔も変わりがない。
聴くぶんには良いんだけどね。
まぁテクニックがないだけの話なんだけど。
どちらかというとプレシジョンの太い音色が昔から一貫して好きだということにも変わりがない。
演奏全体を包み込むように太く、そして、モコモコし過ぎずに、適度にエッジの立った音色。
これが私が昔から出したいと思っている音のイメージだ。
これも今も昔も一貫して変わらない。
しかし、今の自分がセッティングしている音色と聴き比べてみると、なんだか微妙に違う。
極端なことを言えば、モッサリとしてエッジの立っていない中途半端な音色なのだ。
きっとエレキでもウッドのニュアンスを出そうと一生懸命だったのだろう。
トレブリーな音色になることを恐れてか、トーンは常に絞り気味。そのぶん、リアピックアップのつまみを調整して音の調整をしているのだ。
映像を見ると、曲の合間などのちょっとした隙間を利用してボリュームのつまみを小まめに回して、音色作りをしている自分がいる。
おいおい、そんなに回しまくっていいのか、ニュアンスが変わっちゃうぞ!と自分で突っ込みを入れたいぐらいツマミを回している。
それぐらい、自分の納得のいく音色作りに懸命だったのだろうと思う。
今の私だったら、おそらく昔ほどは、ちょこちょことつまみを回して音色の調整はしないと思う。
バランスを決めてしまったら、後はただ弾くだけだ。ニュアンスは指とピッキングする位置で差をつけてあげればいい。
そして、最近の私のセッティングは、以前に比べると、もう少しトレブリーでエッジを効かせた音色にしている。
フロントとリアのバランスで音色を作った後、トーンも5から7ぐらいに上げるようにしている。
昔は、トーンはほとんどゼロか1ぐらいに絞っていたからね。
フロントとリアのバランスだけで音色を作っていたような感じ。
たしかに音の抜けは良いベースなので、それぐらいに絞っても音は通っていたけれども、ビデオから聞こえる自分のベースの音は、やっぱりエッジの無いモッサリとした音色に感じる。
弾いているうちに、ステージをこなしているうちに、自分の好みやセッティングも微妙に変わってくるものなのだなと痛感した次第。
目指すべき音のイメージは同じでも、そして、弾くスタイルに変わりはなくとも、気がつかないうちに好みやセッティングのバランスが微妙に変わってきているのだなと思った。
これは、成長なのか、退化なのか。
記:2003/07/06(from「ベース馬鹿見参!」)