レット・ラヴ・ビー・ユア・デスティニー/ビーチェ
鬱陶しい季節に一服の清涼剤
ジメジメした鬱陶しい季節は、bice(ビーチェ)をかけて気分転換。
biceの『let love be your destiny』をかけると、音が鳴った瞬間から、空気が変わる。
締め切った部屋の窓を開け放ち、爽やかな空気が流れ込んでくるような、そんな清涼感がある。
ミントグリーン
ささやくような、つぶやくような、独特な声と歌唱。
色彩に喩えるならば、ミントグリーン。
彼女の歌は、一貫してクールな肌触りだが、心地よい湿り気もあるので、寒くなりすぎない。
だから、クーラーというよりは除湿機。
でも、湿度が高くて不快指数の高い部屋には除湿機が重宝されるように、やっぱり日本の6月、7月は(梅雨の無い北海道はのぞく)、ビーチェは必携なんじゃないでしょうか。
フランス的なアンニュイさを感じさせながらも、貫かれるムードはあくまで力強い「陽」。
ただし、それを露骨に感じさせないよう、とってもオシャレにオブラート。
とても心地よいひとときを過ごせるのだ。
アレンジも秀逸
もちろん、ヴォーカルのみならずアレンジも秀逸。
個人的には2曲目の《The Girl In The Letters》と7曲目の《Walking in the rain》が大好きで、忙しいときはこの2曲だけを抽出して聴いている。
《The Girl In The Letters》のチェロだと思うんだけど、間奏の弦楽器のピチカート、《Walking in the rain》の疾走感のあるリズム、どれもがとても心地ちよい。
そういえば《Slow dive》のバックで効果的に鳴り響くエレピ(ウーリッツァかな?)も心地よいね。
あくまで彼女の性質や歌い方を引き立てるようなアレンジではありながらも、曲ごと楽器の選定をも含めてアプローチを変え、そして丁寧に歌と楽器が溶け込むように丁寧にアレンジが施されている。
ま、一言に還元すれば「ものすごくセンスがいい」ということなんですが。
だから、これを聴いてしまうと、テレビから流れてくるような普通の歌謡曲やポップスを聴くのがバカらしくなってしまうくらい。
いや、バカらしくはないけれども、せっかく浄化された耳の中が汚されたくないという思いがしばらく続くのです。
それぐらいに上質、いや、もう凡百のポップスとは、さりげなく次元が違うのです。
もっとたくさんの老若男女に聴いて欲しいアルバムですね。
いや、「老」はいいので、特に若い人、こういうハイセンスなアルバムも若い感性に注入しておきましょうよ。
収録曲
let love be your destiny (徳間ジャパンコミュニケーションズ)
- bice
1. Talk Talk
2. The Girl In The Letters
3. Cloudy Sky
4. blossom diary
5. Linsey de Butterfly
6. Slow dive
7. Walking in the rain
8. ハムラビラヴ
9. 私とポールの事
10. 悲しき鳥
11. 包んであげる