ライヴ・アット・バードランド/ジョン・コルトレーン
エルヴィンだけでも聴けてしまう
レギュラーカルテットによるアンサンブルの一体感、アルバムの統一感ともに申し分のない充実した内容の一枚。
ハードでエキサイティングな演奏が多いが、彼のアルバムの中では比較的聴きやすい部類に属する内容。
ゆえに、気軽に聴ける1枚だし、実際、私自身もよくかけているコルトレーンのアルバムの群の中の一枚。
なにはさておいても、キューバ出身のパーカッショニスト、モンゴ・サンタマリアの名曲、《アフロ・ブルー》の演奏が白眉。
白熱した演奏を聴くたびに気分が高揚してくる。
もうひとつの目玉は、《アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー》。
プレスティッジの『ソウル・トレーン』でも演奏していたこの曲は、5年前の演奏よりもはるかにスケールアップをしている。
自信たっぷりの堂々とした歌いっぷり。
特に、無伴奏の中、テナー一本で延々と吹きまくる、ラストの長いカデンツァが圧巻だ。
《アフロ・ブルー》のメロディを裏返しにしたような同傾向曲の《ザ・プロミス》も悪くはないし、重くのしかかってくる《アラバマ》は、じっくりと腰を落ち着けて鑑賞したい演奏。
しかし、最近私が一番注目しているのは、《ユア・レディ》。
忘れがちな、というか実際私の場合は、曲の存在すら忘れていたラストナンバーだが、これが結構面白い。
正直、テーマもアドリブのメロディも、今一つ心に入ってこないメロディだが、とりとめもなく流れるコルトレーンのサックスから、バックのリズムに意識の比重をずらしたら、これがまた良いのだ。
エルヴィンのドラムが実に細やかで複雑なポリリズムを刻んでいて、トレーンとデュオになる箇所は最高。
トレーンが抜けてエルヴィンだけのドラムが延々と鳴り続けても聴き続けちゃうんじゃないかと思うぐらい、エルヴィン・ジョーンズのドラムはメロディアス、かつ大きなストーリーを持っていると思う。
この曲はエルヴィンのドラムを聴くための曲だと思って聴くと、違う角度から楽しめると思う。この新しい発見に最近はご満悦な私。
記:2002/07/09
album data
LIVE AT BIRDLAND (Impulse)
- John Coltrane
1.Afro Blue
2.I Want To Talk About You
3.The Promise
4.Alabama
5.Your Lady
John Coltrane (ss,ts)
McCoy Tyner (p)
Jimmy Garrison (b)
Elvin Jones (ds)
#1,2,3
1963/10/08
#4,5
1963/11/18