ア・ブロークン・フレイム/デペッシュ・モード
現在につながるDEPECHEサウンドの萌芽
まだまだサウンド的には完成の域に達していない感も否めないが、個人的にはデペッシュ・モードの中ではもっとも思い入れの深いアルバムだ。
彼らの1枚目の『スピーク・アンド・スペル』のハッピーな曲調とはうってかわって、この2枚目は、沈んでしまいそうなメランコリックな曲調が多い。
ヴィンス・クラークが脱退してYAZOOに移ってしまったことは、今後のデペッシュにとっては却って良かったのでは?
彼が在留していたら、おそらくは2枚目以降も『スピーク・アンド・スペル』のテイストを踏襲した陽気でポップでキャッチ―なありきたりな凡百なエレポップの路線を歩んでいただろうから。
むしろ初期の段階で、ヴィンスという大きな「穴」が空いたことによって、現在につながる新たな方向性が、初期のこの2枚目によって決定づけられたといえましょう。
《リーヴ・イン・サイレンス》から《マイ・シークレット・ガーデン》の流れ、ひっそりとしたダークなニュアンスにピンとくれば、もうこのアルバムの虜になったも同然。
ちょっとチープに感じるインストナンバーの《ナッシング・フォー・フィアー》ですら味わい深いものに感じられるはず。
さらに曲中のところどころに表れる(特に冒頭の《リーヴ・イン・サイレンス》で多用されている)メタリックで濁った音色のシンセ・パーカッションが効果的。
まだまだ当時は、少々か細くも感じられるヴォーカルに、アナログシンセのアンニュイな味付け。
後年のデペッシュの重厚さは、この時点ではまだまだ感じられないが(萌芽はあるけれど)、それでも、このナイーヴなサウンドと曲調は時代を経ても色褪せません。
ヒットした《シー・ユー》も収録されている。
この曲、素朴で、なんとなく青臭くて良いよね。
バックの打ち込みドラムのチープで軽い音もグッド。
同じようなテイストのラストナンバー、《ザ・サン・アンド・ザ・レインフォール》も良いね。
ジャケットも最高。
発売当時は、このアルバムのジャケットを、部屋の壁に飾ってました。
ジャケ写のムードと、中身の音楽がピタリと一致しているのです。
収録曲
A BROKEN FRAME (Mute)
- Depeche Mode
1. Leave in Silence
2. My Secret Garden
3. Monument
4. Nothing to Fear
5. See You
6. Satellite
7. The Meaning of Love
8. A Photograph of You
9. Shouldn't Have Done That
10. The Sun and the Rainfall
YouTube
ユーチューブにアップした動画でも、このアルバムについて語っています。
記:2019/06/20