クリフ・ジョーダン/クリフ・ジョーダン
2022/08/30
ほんわか、ほんわり、心地よいテナー
のほほん7割、 ピリリが3割というバランスが心地よい名盤だ。
クリフ・ジョーダンのテナーサックスは、あえて悪い言い方をすると、一言、ゆるい。
非常に牧歌的ともいえるだ。
エッジが丸く、フレージングも、あの円やかさが特徴のハンク・モブレイよりも、 さらにほのぼのさ加減に磨きがかかっている。
ハンク・モブレイは、時々「おーっ!」と身を乗り出すほどのカッコいいフレーズを突然繰り出すからね。
しかし、ジョン・コルトレーンや、マイケル・ブレッカーのように、メカニカルで鋭利なサックスも良いが、クリフ・ジョーダンのような、円やか、穏やかなサックスも捨てがたい。
常に前進・研鑽・精進する急進的、求道的なスタイルの人も凄いとは思うけれども、時として、聴いているこちらのほうが疲れちゃうからね。
のんびり、ほんわか、音楽を長い間楽しむんだったら、ブルーノートのこの彼のリーダー作のようなジャズをゆるやかにノンビリと楽しみたい。
録音当時、18歳だったリー・モーガンのトランペット・プレイは、先輩のほんわかな雰囲気に同調したかのように、柔らかでメロディアスだ。
このアルバムで、ブルーノートデビューを飾ったカーティス・フラーのトロンボーンも、ジョーダンのテナーをさらに円やかに引き立てている。
ジョーダンと同郷な上、ハイスクール時代は同級生だったジョン・ジェンキンスも、ふだんは熱気を帯びたアルトを吹くイメージの強い人だが、このアルバムでは、いつもに増して丸みを帯びたフレーズを吹いている。
これって「クリフ・ジョーダン効果」だと思う。
昼下がりの休日なんかに、皇居の周りを散歩しながら、 あるいは、日比谷公園を散策しながら、のほほんと聴きたい。
そう、『クリフ・ジョーダン』は、屋外がよく似合うのだ。
寒い冬でも、天気さえ晴れていれば、心はぽかぽかと暖まってくるに違いない。
穏やか、かつ寛ぎの名盤だ。
記:2005/10/18
album data
CLIFF JORDAN (Blue Note)
- Cliff Jordan
1.Not Guilty
2.St John
3.Blue Shoes
4.Beyond The Blue Horizon
5.Ju-Ba
Cliff Jordan (ts)
Lee Morgan (tp)
Curtis Fuller (tb)
John Jenkins (as)
Ray Bryant (p)
Paul Chambers (b)
Art Taylor (ds)
1957/06/02