ドラムライン/試写レポート
ドラムライン
とにかく、音量に圧倒される。身体が揺さぶられる。
超人的なドラムテクニックと、束となって襲い掛かるサウンドの圧倒的な迫力。
これは、頭よりも、耳と体で感じる映画なのだ。
「驚異のマーチング・バトル」というのも決して誇大広告ではない。
予告編の冒頭に「ハーフタイムは、もう一つのバトルだ」とあるように、この映画は、スポーツ競技のハーフタイムの間に、演奏とパフォーマンスを競い合うマーチング・バンドを描いた作品だ。
いきなり、余談から入るが、マーチング部の監督の顔がコルトレーンに似ているのが良い。
コルトレーンとは、もちろん、アリスではなくて、ジョン。ジョン・コルトレーンだ。神経質だけど誠実そうな役回り。そして理知的で精悍な眼差し。
ダイエットしたコルトレーンは、きっとこんな風貌なんだろうな(笑)。
と、すげぇ余談だ。でも、実は音以外の点では、「監督の顔=コルトレーンに似ている」というのが、私がこの映画に抱いた第二印象。それにしても、どうでもいい第二印象だな。
でも、この情報がジャズ好きの人を「見てみようかなぁ心」をくすぐったに違いない。違うか。
ジャズといえば、主役の名前もデヴォン・マイルス、そうマイルスだし。
関係ないけど。
彼の役どころは、ニューヨークのハーレム育ちの天才ドラマー。
高校卒業後、アトランタA&T大学の名門マーチング・バンド部にスカウトされ、特待生として入部したところから話ははじまる。
あとは、もうご想像のとおり、特訓、恋愛、挫折…といった青春映画お決まりのパターン。
でも、いいのだ、お決まりでも。
私はパターン批判者ではない。
どちらかというと“パターン批判批判者”だ。だって、たとえパターンは決まっていたとしても問題はそれをどう描くか、なのだから。
個人的には落ち込んだときに、実家のお母さんに電話をしていた彼の姿が可愛かった(笑)。
あと、ライバル&先輩役の人と主人公のライバル意識→衝突→和解→特訓といった流れが良かったね。
わりかしスポ魂的だが、やっぱり良い。音楽は汗水たらしてなんぼのところも多分にあるのだ。
やってる人、やってた人には実感として分かっていただけると思うが。
movie data
製作年 : 2002年
製作国 : アメリカ
監督 : チャールズ・ストーン三世
出演 : ピエトロ・ジェルミ、ルイザ・デラ・ノーチェ、エドアルド・ネヴォラ、シルヴァ・コシナ、カルロ・ジュフ、サーロ・ウルツィ ほか
配給 : 20世紀フォックス映画
製作総指揮 :ダラス・オースティン
公開 : 2004/04/10~
観た日:2004/02/26
記:2004/04/07