ファーレンハイト/TOTO
2018/07/21
マイルスが参加している
今となって振り返れば、意識的にジャズを聴き始めるずいぶん前から、マイルス・デイヴィスのトランペットにノックアウトされていた私。
ラストの《ドント・ストップ・ミー・ナウ》。
インストのナンバーです。
主役はスティーヴ・ルカサーのギターだが、この主役に絡み、最終的に主役の座を奪ってしまうのが、マイルスのミュート・トランペットだ。
これを聴いていた当時の私は、この夜のシジマを突き刺す主がマイルスとは露知らず、それでも、このハードボイルドな世界に痺れまくっていた。
涼しげな《リア》から受け継ぎ、アルバムのエンディングを締めるにまさに相応しい曲なのだ。
後、ジャズを知り、マイルスを知り、しばらくしてから、マイルスがTOTOのこのアルバムに1曲だけゲスト参加していたことを知った。
「なるほど、やっぱり!」と膝を打った私だが、《ラウンド・ミッドナイト》のミュートに痺れる遥か前に、すでにマイルスのミュートの洗礼を受けていたのだと思うと感慨深いものがある。
風通しの良い心地よさ
ちなみに、このアルバム自体は、リアルタイムでよく聴いてました。
ヴォーカルがジョセフ・ウイリアムスに変わったということもあるけれども、それ以上に、なんだかサウンドの肌触りが穏やかになっている。
爽やかなんだけれども、全体的にゆったり&まったりな感触が、ちょうど、『アイソレーション』と『セブンス・ワン』の間の箸休め的な感じがしてグッド。
もちろん、《メイク・イット・トゥナイト》やタイトル曲のように元気な曲もあるけれどもね。
ただ、なんというのか、全体的にサウンドの風通しが良いんですよ。
気持ちよい。
もちろん「このアルバムだけはTOTOっぽくないよな~」などと仰るオールドTOTOファンも少なくないんだけど、ま、そんなん無関係で、好きな曲だけでも抽出して聴けば良かなんじゃないですかね?
比較的穏やかなTOTOをリラックスして楽しめる好盤です。
記:2009/11/02
収録曲
FAHRENHEIT (Columbia)
- TOTO
1.Till the End
2.We Can Make It Tonight
3.Without Your Love" Paich 4:33
4.Can't Stand It Any Longer
5.I'll Be Over You
6.Fahrenheit
7.Somewhere Tonight
8.Could This Be Love
9.Lea
10.Don't Stop Me Now
Released:August 1986