ゴー・トゥゲザー/カーラ・ブレイ&スティーヴ・スワロウ
メロディアスなベースの歌心、心地よい音色
スティーヴ・スワロウのエレキベースがとても気持ちよい。
特に高音域の伸びのある暖かい音色。
本人はマーヴィン・ゲイの歌を意識しているらしい。
インタビューによると、彼が使用しているシュールな形状をした5弦ベースの音域はマーヴィン・ゲイと同じ音域をカバーしているのだという。
音域的な面はともかく、たしかにスワロウのベースソロからは「歌」を感じる。
『ゴー・トゥゲザー』は、カーラ・ブレイのピアノと、スティーヴ・スワロウのエレキベースによるデュオ・アルバムだ。
カーラの重厚さと軽やかさが絶妙な配分で入り混じったピアノも良いが、メロディを奏でる時のスワロウの音色が私にとってはとても気持ちが良い。
カーラ作曲の一曲目、「ブルースをそっと歌って」でそっと呟くように奏でられるスワロウのベースにはいつも惚れ惚れとしてしまう。
メロディラインを奏でるときの、暖かい音色と、バッキングに回ったときの粒立ちのハッキリとしたサクッ!とした音色(彼はピックを使ってベースを弾いている)の対比がとてもバランスが良いと思う。
そういえば、『ゴー・トゥゲザー』は、ジャケットが面白いアルバムでもある。
表面は、仲睦まじい御両人の後姿。しみじみ、ほのぼのとした朝の小道を歩く恋人たちといった風情。
しかし、裏ジャケットは、まるで銭形警部に追いかけられているルパン三世と次元のようなポーズでトンズラを決めているユーモラスな二人の後姿というオチ。
しっとりさ加減とユーモアさ加減の絶妙なバランスは、まるで彼らの音楽そのものだ。
朝のティータイムにどうぞ。
記:2003/02/25
album data
GO TOGETHER (Watt)
- Carla Bley/Steve Swallow
1.Sing Me Softly Of The Blues
2.Mother Of The Dead Man
3.Masquarade In 3 Parts
4.Carnation
5.Dark Glasses
6.Mustache
7.Ad Infinitum
8.Copyright Royalties
9.Peau Douce
10.Doctor
11.Fleur Carnivore
Carla Bley (p)
Steve Swallow (b)
New York,Summer 1992