グッド・フィーリング/クリスチャン・マクブライド

      2019/11/10


Good Feeling

ビッグバンドとパンチのある低音を楽しめる

これはビッグバンドが苦手なジャズファンにこそ聴いてほしいアルバムですね。

なぜかって?

とにかくクリスチャン・マクブライドのベースの音だけでも楽しめちゃうから。

一般にビッグバンドが苦手なジャズファンは、ピアノトリオや、サックスやトランペットのワンホーン・カルテットなどを好む傾向があると思うんですよね。

少人数編成のコンボの場合、個性豊かな楽器奏者のアドリブを楽しむ、いわば個人芸を楽しむ要素が強いんですが、ビッグバンドの楽しみは、アレンジやアンサンブルの妙を楽しむ要素も大きく加わってきます。

だから、同じ「ジャズ」という括りの音楽とはいえ、聴く人が重点を置くポイントが違うので、ピアノトリオも好きだけど、ビッグバンドも同じくらい好きというファンってあまりいないと思うんです。

だから、私の場合もそうだったんですが、最初はやはりお気に入りのミュージシャンのプレイを追いかけるには、バンドの人数は少ないほうが集中して聞けると思っていた。

ビッグバンドの場合も、もちろん管楽器奏者をフィーチャーしたソロのコーナーなんかもあるけれど、いかんせんソロを披露する時間って少ないですし、トランペットやサックスやトロンボーンなどの管楽器の音がいっせいに「ビャー!」と鳴ると、生で聞く分には迫力なのかもしれないけど、夜、自宅で聴くにはいかんせんウルサく感じてしまうんじゃないか⇒だからビッグバンドのジャズを聴くのは10枚や20枚のうちに1枚あるかないかそいういう鑑賞頻度になっちゃうと思うんです。

ところが、ところが。

このクリスチャン・マクブライドのビッグバンドの演奏は、主役がベーシストということもあるんだろうけれど、とにかくベースの音を追いかけるだけでも楽しめちゃうんです。

太くて暖かくて、パンチのある低音。

一音聴いただけでもマクブライドだとわかってしまうほど、理想的なベースの音。そして抜群の安定感を伴ったフレーズ。

このたった二つだけの要素だけで、マクブライドのベースの音色の虜になっているファンも数多いと思うのですが、このビッグバンド編成の演奏でも、変わることなくマクブライドの魅力的な低音を楽しめてしまうのです。

ヴォーカルがはいろうが、どんなに何人もの管楽器がアンサンブルを繰り広げようが、常に演奏の底流には、マクブライドの「あの音」が安定して横たわっている。

ミックスの関係もあるかもしれないけれども、本当にベースというのはバンドの屋台骨とはよく言ったものだなと思います。

ビッグバンドが苦手な人も安心して楽しめるこの作品は、ビッグバンド嫌いの方をビッグバンド好きにさせてくれる架け橋のようなアルバムになるかもしれません。

記:2014/07/24

album data

GOOD FEELING (Mack Avenue)
- Christian McBride

1 Shake'n Blake
2 Broadway
3 Brother Mister
4 When I Fall In Love
5 Science Fiction
6 The Shade Of The Cedar Tree
7 The More I See You
8 I Should Care
9 A Taste Of Honey
10 Bluesin’ In Alphabet City
11 In A Hurry

Christian McBride (b)
Frank Greene (tp)
Freddie Hendrix (tp)
Nicholas Payton (tp)
Nabati Isles (tp)
James Burton (tb)
Steve Davis (tb)
Michael Dease (tb)
Douglas Purviance (bass tb)
Steve Wilson (as,fl)
Todd Bashore (as,fl)
Ron Blake (ts,ss,fl)
Todd Williams (ts,fl)
Loren Schoenberg (ts)
Carl Maraghi (bs,bcl)
Xavier Davis (p)
Ulysses Owens (ds)
Melissa Walker (vo)

Released:2011/09/27

 - ジャズ