ドラマ『エンジェル・ハート』のオープニングについて
現在放映中のテレビドラマ『エンジェル・ハート』。
上川隆也は、正直ルックス面においては、ぜんぜんシティハンター・冴羽獠には似ていないのですが、不思議なことに、なんででしょうね、立ち居振る舞いを相当研究したんだと思います、かなり雰囲気が冴羽獠的なんですよね。
香瑩(しゃんいん)のキャラは、コミック版(あるいはアニメ版)に比べると、かなり暗い感じだけれども(そのうちだんだん明るくなっていくかもしれないけど)、ま、これはこれでアリかな、と思っています。
そういう面白さもありながら観ているんですが、やはりジャズを聴いている人はオープニングが気になるのでは?
番組オープニングのジャズ風のテーマの「キメ」のあの部分は、完全にソニー・クラークの《ブルー・マイナー》だよな~。
テンポはドラマのバージョンのほうが早いけれど、「パヤッ、パヤッ、パヤッ、パヤッ……」と2音で形成される旋律を数回繰り返すところなど、まさに《ブルー・マイナー》。
やっぱりキャッチーですからね、「あの部分」は。
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アメリカではまったく人気がなかったと言われているソニー・クラークの『クール・ストラッティン』が日本で人気なのは、タイトル曲のブルース《クール・ストラッティン》ではなく、2曲目の《ブルー・マイナー》です。
そして、《ブルー・マイナー》の日本人人気を決定づけているのが、ラテン的要素が混ざったサビ。
ここがポイントなのではないかと。
日本人、ラテン好きですからね。なんだかんだいって。
かのジャズ喫茶店主であり、ジャズ評論家であり、オーディオマニア兼評論家である寺島靖国氏も、もとはといえばラテンファン。
実際、ご自身がプロデュースされているアルバムの選曲や、レコメンドするディスクの多くはラテンタッチのアレンジ、メロディが入っているものが少なくないですからね。
《ベサメムーチョ》に代表されるマイナー節が寺島さんに限らず、ある一定の年齢以上の世代には琴線を突くことは確か。
うちの実家にもラテンのレコードたくさんありますからね。
日本人のラテン好きは、演歌の延長線上、いや、しみったれた要素を排して洋風の洒落た要素が盛り込まれたオシャレな演歌というような位置付けで聴けるからなのかもしれません。
そして、このラテンチックな響きと、旋律に感性のツボが刺激される遺伝子のようなものは、現代にも脈々と受け継がれています。
主にドラマなどでゴージャスさやスケールの大きさを演出する際のBGMによく使われていますよね、今でも。
ブラスセクションを厚く盛った派手なアレンジで。
その際たるもの、分かりやすい形で引用されたものが、今回のドラマ『エンジェルハート』のオープニングミュージックだと思うのです。
ジャズや《ブルー・マイナー》を聴いたことのない世代には、この音楽、どう響いているんでしょうね。
記:2005/11/16