ザ・モントリオール・テープス・ウィズ・ドン・チェリー・アンド・エド・ブラックウェル/チャーリー・ヘイデン
2021/01/30
ヘイデンの地を這う重低音と明快なトランペット
チャーリー・ヘイデンのベースは、とても重心が低い。
そんな彼の、地を這うようなウォーキング・ベースが堪能出来るアルバムだ。
ねっとりとした低音がスピード感をともなって心地よく付き進む演奏を楽しめるこのライブ盤は、オーネットの曲を楽しめるアルバムでもある。
8曲中6曲がオーネット・コールマンの曲で、2曲がドン・チェリーの曲という選曲。
どの曲も良い。
そして、どの曲も、エキセントリックさと素朴さが両立していつつ、とてもシンプルな力強さを持っていることが分かる。
明快で歯切れの良いドン・チェリーのトランペットが、これらの曲の輪郭を分かりやすくピリッと浮き彫りにしている。
無駄のないシンプルなフォーマットも、それに拍車をかけている。
地を這うような重低音、チャーリー・ヘイデンの4ビートと、ドン・チェリーのハイトーンのトランペット。
この高音と低音の間をエド・ブラックウェルのドラムが心地よく埋めている。
ブラックウェルの趣味の良いオカズの入れ方と、煽りの功もあり、決してスカスカな感じのしない演奏。
とても、バランスのよいトリオだと思う。
《ロンリー・ウーマン》のベース・ソロ、軽快な《ロウ・イヤーズ》のドン・チェリーのプレイなどなど、聴き所も多い。
ベース、ドラム、トランペット。
楽器が少ないかわりに、同時並行的に3つの楽器に気を配ることが出来、しかも、それぞれの楽器同士の息づかいや絡みまでもが、集中して聴いていると手に取るように分かる。
そして、気がつくと、あっという間に時間が経過していることに気がつくのだ。
記:2003/01/08
album data
THE MONTREAL TAPES WITH DON CHERRY AND ED BLACKWELL (Verve)
- Charlie Haden
1.The Sphinx
2.Art Deco
3.Happy House
4.Lonely Woman
5.Mopti
6.The Blessing
7.When Will The Blues Leave?
8.Law Years
Charlie Haden (b)
Don Cherry (tp)
Ed Blackwell (ds)
1989/07/02
at the Festival International de Jazz de Montreal,Canada.