春に散る/沢木耕太郎
2018/01/12
格闘技を志す者も、考える力が必要だ。
いや、格闘家になって活躍することを念頭に入れているからこそ、考える力が必要なのではないかと言うことを考えさせられる本が、沢木耕太郎・著の『春に散る』です。
これはこれはかつてボクシングで世界の頂点を目指して4人の男たちの物語です。
と同時に「頂点」の重みも描かれています。
考える力が必要。
これを思い知るエピソードは、ボクシングジムを訪れた若者に文庫本が手渡されることでしょう。
それはヘミングウェイの短編小説『五万ドル』でした。
これを読んで感想文を書くと言うことが最初の課題。
珍しいボクシングジムですね。
しかし、ちゃんと意図があったのです。
これを通して志願者の「考える力」を試そうとするんですね。
このボクシングジムの指導者は、考える力こそが大事だと考えていたのです。
勝負の世界において頂点に立てるのはたった1人です。
壁を乗り越えるためには「考える力」が必要だということが、とても説得力ある描写で分かりましたね。
プロットを読んでいるかのように、ストーリーがポンポンと進んでいくので、読みやすいといえば読みやすいのだけれども、そのぶん深み、重みのようなものは、少し足りないかな。
また、ちょっとベタでクサいところもあるけれども、人生に疲れた人には一読をおすすめしたいですね。
たとえば、出張の行き帰りの新幹線や飛行機の中で読む、とか。
記:2017/01/19