火火とスカーレット

   

NHKの朝ドラ『スカーレット』も、いよいよ終盤、ヒロイン(戸田恵梨香)の息子・武志の白血病のエピソードに突入している。

昼の再放送もあるが、基本は老若男女とターゲットが広い朝のドラマゆえ、今後の闘病姿の描写もマイルドな表現に終始するんだろうね。
そう考えるのは、15年ほど前に、試写で見た『火火』(監督:高橋伴明)を思い出すからだ。

『火火』も『スカーレット』も、信楽の女性陶芸家・神山清子(こうやま・きよこ)がモデルの話だ。
『火火』ではを田中裕子が神山清子を演じていた。

気丈で芯の強い陶芸家、母親を演じており、亡くなった息子が荼毘に臥され、帰宅した直後に、穴釜に焚き木をくべるラストシーンが印象的で、内面に烈火のごとき激しさを感じさせる女性像だった。

それに比べると戸田恵梨香は、気丈ではあるが田中裕子よりはマイルドなおばちゃんといった陶芸家像を演じているが、まあ朝ドラなのでこれぐらいの温度が丁度良いのでしょう。

映画では、窪塚洋介の弟、窪塚俊介の白血病者の演技が、けっこう生々しいというか痛々しい印象だった記憶があるが(ちなみにこの作品が彼のデビュー作)、まあ朝ドラでは、そこまでの描写は無理でしょうね。

『火火』の闘病シーンが記憶に焼きついていることもあり、今後は観るのが少々辛いエピソードの中盤に差し掛かっている現在ではあるが、一話からここまで観ているので、一応最後まで観届けたいと思っております。

記:2020/03/25

 - ドラマ