合戦で刀はほとんど役に立たない。『刀の日本史』(講談社現代新書)
2018/08/05
あんなにカッコよく刀で斬れない
映画や大河ドラマでの合戦のシーンで、勇ましく刀を振り回して敵を次々となぎ倒す主役。
おお強ぇ~、武者も刀も強ぇ~。
しかし、合戦で刀はほとんど役に立たない、のです。
最初は弓矢
1番殺傷率があるのは弓矢です。
合戦ではまずリスクの少ない長距離戦が展開されます。
弓矢体が相手の陣地に向けて一斉に弓を放ち、敵の勢力を崩すことを狙うのがセオリーです。
そしてその殺傷率は実に6割を誇っていたのが弓矢です。
次に槍
遠距離戦が緩んだのを見計らって飛び出すのは次は刀ではなく薙刀や槍を持った武士たちです。
長いものでは6メートルあるリーチと重量生かして、敵の頭部を僕出したり、敵の頭部を横断したり鎧の隙間を狙って吐いたりして戦いました。
合戦での殺傷率は2割程度だと言われています。
次は石
次に攻撃力のあるものは石です。
そこら辺に落ちている石ころや瓦礫を投げたり落としたりして、相手を倒す場合の方が刀よりもずっと多かったのです。
投石によって的に攻撃を与えることを礫(つぶて)や印地打ち(いんじうち)と呼び戦国大名の武将の武田勝勝も300人規模の投石隊を率いていました。
殺傷能力は低かったかもしれませんが、当たり所が悪ければ大きなダメージを負わすことが出来たでしょうし、役割としては、敵勢力を削ぐこと、攪乱することが目的だったのです。
目的は弓矢に近いですね。
刀の殺傷率1割
では刀は?
実に1割未満だそうです。
つまりあくまで刀は護身用。
弓も槍も失ったときの護身用、あるいは敵の首を持ち帰る時に使われただけで、戦場における殺傷率は1%にも満ただったといいます。
大河ドラマや時代劇、映画の合戦シーンでは、よく刀同士の一騎打ちが行われますが、このような戦いはほとんど行われず稀だったそうです。
また馬の上で武士が鎗や日本刀を片手に戦う心もありますが、これも脚色された戦術で、馬上で使うのも、もっぱら弓矢がメインだったそうです。
そんなことが色々と書いてある講談社現代新書の『刀の日本史』(講談社現代新書)は面白い!
記:2015/08/09