ジ・インクレディブル・ジミー・スミス・アット・ジ・オルガン Vol.3/ジミー・スミス

   

ソーネル・シュワルツのギター効果

油の乗りきったジミー・スミス、ブルーノートでのレコーディング3枚目。
レコード番号は1525番。

傑作『ザ・チャンプ』のときと同様のメンバー構成で、相変わらずエネルギッシュ。バイタリティのつきないスミスのオルガンの演奏を楽しめる。

ブルーノートでのキャリア初期のジミー・スミスの演奏はどれもが素晴らしいのだが、このアルバムにおけるジミー・スミスの印象は、とても急いているように感じる。まるで何かに取り憑かれたように。

次から次へと迫りくる曲という課題に猛然と取り組み、手加減無しのガチンコ勝負で曲をねじ伏せている、そんな印象を受ける演奏が多い(勿論やっつけ仕事で、という意味ではない)。

特にオリジナルの《マンボ・ジャンボ》や《フィドリン・ザ・マイナーズ》などが、特にその印象が強い。

もちろん、《枯葉》などのようなスローテンポの演奏もあるが、ピアノには出せないオルガンならではの必殺技のロングトーンを駆使し、一歩間違えればクサさ全開な演奏。これとてもジミーが発する冷めることなき熱量の賜物だろう。

面白いのが、共演者のギタリスト、ソーネル・シュワルツのプレイだろう。

基本、彼のフレージングはたどたどしい。

このたどたどしさが、《ウェル・ユー・ニードント》のようなミドルテンポのナンバーでは押しの強いジミーのオルガンとは良い対比をなしているし、アップテンポのナンバーでのギターソロは、たどたどしい音価でポロポロと弾かれるために、かえってシャカリキ感と切迫感が如実にあらわれ、危なっかしさ一歩手前のスリリングさを味わえるのだろう。

歪んだ、というよりは割れたような弦の音色もヤバ黒いニュアンス満載。

ソーネル・シュワルツは、この時期の獰猛なジミー・スミスとは、楽器の語り口においても、音色においても、抜群の相性とコンビネーションを誇っていたことが伺える。

オルガンジャズを何か一枚、という方がいらっしゃれば、自信を持って「聴いて後悔なし!」と言える1枚だ。

記:2010/12/17 

album data

THE INCREDIBLE JIMMY SMITH AT THE ORGAN VOL.3 (Blue Note)
- Jimmy Smith

1.Judo Mambo
2.Willow Weep For Me
3.Lover Come Back To Me
4.Well, You Needn't
5.Fiddlin' The Minors
6.Autumn Leaves
7.I Cover The Waterfront

Jimmy Smith (org)
Thornel Schwartz (g)
Donald Bailey (ds)

1956/06/12

 - ジャズ