ジミー・スミス・アット・ジ・オーガン Vol.1/ジミー・スミス
2024/09/20
アルフレッド・ライオンのジミー・スミスに対する偏愛は続く。
とにかく気に行ったミュージシャンには、あの手、この手で、色々な曲を色々な編成で演奏させたい。
この思いが、1957年の2月の3日間を使ってブルーノート流の「マラソンセッション」が行われた。
集められたジャズマンはいずれもブルーノートでリーダーを張ることの出来る看板ミュージシャンばかり。
集まった優秀な「素材」を贅沢に利用して、ジミー・スミスというオルガン奏者の美味しいところをあの手この手で色々な側面から調理しようとした意図したのだろう。
「調理長」としてのライオンは、どの食材と食材を組み合わせれば、ジミー・スミスという素材を、もっとも美味しく活かせるのかと、いろいろな組み合わせをワクワクしながら考えたことだろう。
そして、最初から企図していた5枚の内容が、どれもが同じような内容に陥らぬよう、それぞれのアルバムの目玉となる「アルバムの顔」となる演奏をどう割り振ろうかと、頭の中で様々な考えをめぐらせたいたことは想像に難くない。
そのことは「マラソンセッション」の5枚を聴くとよく分かる。
それぞれのアルバムには、特有の雰囲気やアルバムのキャラクターを決定づける曲があるからだ。
だからこそ、このアルバムの場合は、意表を突く《サマータイム》が冒頭を飾る選曲にしたのだろう。
ジミー・スミスのオルガンと、ルー・ドナルドソンのアルトサックスのデュオだ。
また、このアルバムの面白いところは、スタジオに集められたミュージシャン全員による演奏が収録されていないところもある。
アート・ブレイキーや、ドナルド・バード、ケニー・バレルもスタジオに呼ばれていたにもかかわらず、彼らが参加しない演奏も多数収録された。
おそらくライオンの頭の中には、演奏を分散して収録するそれぞれのアルバムのコンセプト、設計図が出来ていたのだと思われる。
だからこそ、『ア・デイト・ウィズ・ジミー・スミス vol.1』から始まり、『ザ・サウンズ・オブ・ジミー・スミス』で終わる5枚のアルバムには、それぞれのアルバムの顔があり、そのアルバムならではの雰囲気をたたえているのだろう。
このアルバムの目玉は先述した冒頭の《サマータイム》、そしてラストを飾るパーカー作の名曲《ヤードバード組曲》だ。
この脈打つ躍動感は、1957年当時は「いつものスミス」なのだろうが、この当時をリアルタイムに生きていない私にとっては、「いつものスミス」が適切に切り取られ、アルバムという形でパッキングされたものを、いつでも解凍して楽しめることが嬉しい。
記:2011/01/14
album data
JIMMY SMITH AT THE ORGAN Vol.1 (Blue Note)
- Jimmy Smith
1.Summer Time
2.There's A Small Hotel
3.All Day Long
4.Yardbird Suite
Jimmy Smith (org)
Lou Donaldson (as)
Kenny Burrell (g)
Art Blakey (ds)
1957/02/12