ジャッジメント/アンドリュー・ヒル

   

ハッチャーソンが効いている

アンドリュー・ヒルの『ジャッジメント』。

常に独特な緊張感をかもし出すアンドリュー・ヒルのピアノに、ドスの効いたエルヴィンのドラム。

くわえて、ベーシストも重量級のリチャード・デイヴィスですから、もし、この3人がトリオを組んだら、たぶん、一部のマニアなら狂喜乱舞するかもしれないけど、まったくもって一般受けはしないドスの効いたアルバムが出来上がっていたことでしょう。

しかし、音楽性は深いながらも、案外聴きやすい仕上がりになっているのは、ボビー・ハッチャーソンの参加が大きいのかもしれませんね。

もちろん、彼のヴァイブがポップで甘口というわけでは全然なくて、良い意味で、曲が持つテンションを緩和する作用があるんですね。彼のヴァイブには。

音色しかり、フレーズしかり。

決してヒルが構築した世界を壊すことなく、むしろ、不可思議な色彩を付け加え、演奏に彩りを添えている。

彼の存在感と「参加効果」には並々ならぬものがあると痛感。

本来は、尖ったセンスの持ち主でありながらも、それを感じさせない「札の切り方」は、サスガとしかいいようがないですね。

album data

JUDGEMENT! (Blue Note)
- Andrew Hill

1. Siete Ocho
2. Flea Flop
3. Yokada Yokada
4. Alfred Rudy
5. Judgement Rudy
6. Reconciliation
7. Yokada Yokada

Andrew Hill (p)
Bobby Hutcherson (vib)
Richard Davis (b)
Elvin Jones (ds)

1964/01/08

 - ジャズ