ジュニアズ・クッキン/ジュニア・クック

   

シルヴァーを支えた2人

秀逸なタイトルだと思う。

リーダーのジュニア・クックという文字に、ちょっと手を加えてだけで、ジュニア・クックというテナーサックス奏者のリーダーアルバムに相応しいタイトルになってしまった。

また、秀逸なジャケットだと思う。

公園(?)にある大きな木に寄りかかる2人のジャズマン。

木の幹に足をくっつけて、ちょっとポーズを決めながらホーンを吹いている2人。

そうか、このアルバムはテナーサックスとトランペットがフロントの編成なんだとすぐに分かる。

このポーズをとりながら管楽器を吹いている2人は、ホレス・シルヴァーのバンドを長年支え続けた二人だ。

そう、ジュニア・クックとブルー・ミッチェル。

このコンビがいたからこそ、ホレス・シルヴァーのファンキー路線のジャズの演奏は磐石なものとして聴衆にアピールし続けることが出来たのだといっても過言ではないだろう。

『フィンガー・ポッピン』 (1956–58)、『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』(1959)、『ホレス・スコープ』 (1960)、『ドゥーイン・ザ・シング』 (1961)、『ザ・トーキョー・ブルース』 (1962)、『シルヴァーズ・セレナーデ』(1963)、そして、一部曲によっては他の管楽器奏者が入れ替わるが、『ソング・フォー・マイ・ファーザー』 (1964)にも、彼ら2人が参加している。

録音年を見れば、ほとんど毎年、1枚のペースでブルーノートから発表しているシルヴァーのアルバムに、彼らはサイドマンとして参加し、シルヴァーの思い描くジャズの具現化の手助けをしている。
しかも、アルバムタイトルからも分かるとおり、そのどれもが名盤なのだから恐れ入る。

シルヴァーの類まれなるソングライティングやアレンジ能力があってこその名盤なのだろうが、これらの彼らの演奏力なくしては生まれ得なかっただろう。

そんな名手2人が、親分であるシルヴァーが抜け、別のピアニストやベーシスト、ドラマーをリズムセクションに従えて録音したアルバムがコレだ。

シルヴァー風味のナンバーも

録音は1961年の4月10日と12月4日の2回に分けて行われている。

前半の4月のレコーディングは西海岸(カリフォルニア)で行われており、ピアニストは、ドロ・コカーだ。
その時に録音された曲は《ブルー・ファローク》、《スイート・ケイクス》、《フィールド・デイ》の3曲だ。

12月の録音はニューヨークにて。
ピアニストは、ロニー・マシューズに変わり、残りの4曲がレコーディングされた。

個人的には、12月録音の《イージー・リヴィング》が、このアルバムの目玉だと思っている。

伸びやかなブルー・ミッチェルのトランペット。
ジュニア・クックは、ストレートで肩肘はらない吹奏から、ふと滲み出るブルージーなニュアンスこそが、彼の魅力だろう。

ああ、この2人はやっぱりホレス・シルヴァーのサイドマンを長年務めてきただけのことはあるなと思わせるナンバーが《スイート・ケイクス》。

『ホレス・スコープ』に収録された代表曲《ニカの夢》を彷彿とさせる曲調だ。
もしかしたら、シルヴァー風の曲を1曲入れておくことは、ホレス・シルヴァー好きのリスナーに対してのサーヴィスだったのかもしれない。

もちろん、他のナンバーも、彼らフロントのコンビネーションは抜群。
良質なハードバップを楽しめるアルバムだ。

記:2019/04/07

album data

JUNIOR'S COOKIN' (Jazzland)
- Junior Cook

1.Myzar
2.Turbo Village
3.Easy Living
4.Blue Farouq
5.Sweet Cakes
6.Field Day
7.Pleasure Bent

Junior Cook (ts)
Blue Mitchell (tp)
Dolo Coker (p) #4,5,6
Ronnie Mathews (p) #1,2,3,7
Gene Taylor (b)
Roy Brooks (ds)

1961/04/10,12/04

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