キーストンズ/レッド・ガーランド

   


Keystones

荒々しいガーランドのピアノ

う~む、これはかなり忍耐を強いられる1枚だ。

ハッキリ言ってしまうと、相当に“雑”な演奏に聴こえる。

「これって、本当に、あのレッド・ガーランド?」と疑ってしまうほどの、ヒドイ演奏だ。

リロイ・ヴィネガーがプライベートに録音していた音源をアルバム化したということもあって、音はそんなに良くない。

しかし、理由は音の悪さではないと思う。

ガーランドは、何に急いているのだろう?

いつになく荒々しいピアノを弾いている。

この荒々しさ、良く言えばパウエル的なのかもしれない。

しかし、単に落ち着きと集中力を欠いた、勢いだけの演奏といったほうが近いかもしれない。

また、フィリー・ジョーのドラムソロをどの曲でもフィーチャーし過ぎなアレンジも良くないのかもしれない。

もちろん、ドカドカドカドカ!!と迫力のあるフィリー・ジョーのドラム・ソロは悪くはないが、曲の度に聴かされると、いい加減飽きてくる。

その上、ドラムとピアノの小節交換の度にガーランドが弾くフレーズは、いつもテーマの一部ばかり。

《枯葉》の頭の4音、《イッツ・オールライト・ウィズ・ミー》の頭の4音と、こればかり。

しかも雑に“弾き殴って”いるので、もう「いい加減にしてくれ」って感じすらする。

耳慣れたスタンダード曲が目白押しの選曲。

そして、ドラムがフィリー・ジョーで、ベースがリロイ・ヴィネガー。

悪かろうはずの無い一流のパーソネルだが、必ずしもこの組み合わせが功を奏したとは思いがたい。

マイルス・クインテットで見せたピリッ!とした集中力。

プレスティッジに残した一連のレコーディングで聴くことの出来る“粋”な味わい。

これらガーランドの面影は、このライブ演奏には残念ながら認められない。

記:2003/05/26

album data

KEYSTONES! (Xanadu)
- Red Garland

1.Autumn Leaves
2.It's Impossible
3.Daahoud/New York Theme
4.I Cared For You
5.It's All Right With Me
6.Green Dolphin Street/New York Theme

Red Garland (p)
Leroy Vinnegar (b)
Philly Joe Jones (ds)

1977/05/12 San Francisco

 - ジャズ