ブルース・ビフォア・サンライズ/リロイ・カー

   

ピアノとギターが生み出す深いコク

深夜の独り酒の友は、リロイ・カーのブルースが良い。

特に私は『ブルース・ビフォア・サンライズ』が大好きで、ことあるごとに、このCDをデッキのトレイに乗せて再生している。

もちろん、時間帯は深夜。

そういえば、リロイ・カーを、まっ昼間に聴いた記憶ってないな。

べつに《ブルース・ビフォア・サンライズ》という言葉を忠実に守っているというわけでもないのだけれども。

彼が奏でる柔らかいピアノと、スクラッパー・ブラックウェルのギターが溶け合うと(曲によってはジョッシュ・ホワイトも加わる)、まるで12年モノのウイスキーのような深いコクが生まれる。

そこに、彼の甘くちょっと切ないヴォーカルが絡むと、豊饒なる音空間が出来上がり、あとはもう何もいらない。

ロバート・ジョンソンが好きな人にとってみれば、ちょっとリロイ・カーのブルースは洗練された「オシャレ」なブルースに聴こえるかもしれないが、両者ともに歌の節回しには共通点があるので、ヴォーカルを中心に耳で追いかけていくと、きっとリロイ・カーのことを好きになってくれるんじゃないかと思う。

ちょっと、遠くのほうから、それも時空を越えて、遠い昔から聴こえてくるような懐かしい声。
これにハマってしまうと病みつきになるに違いない。

記:2000/10/19

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