ザ・ブレッシング/ゴンサロ・ルバルカバ

   

オーネットナンバーとの相性の良さ

オーネット・コールマンの《ザ・ブレッシング》という曲が大好きなので、他の曲を飛ばして、この一曲だけを聴くことも多い。

いわゆる世間的には、

ルバルカバ=弾きまくり過ぎのすごいヤツ

ルバルカバ=肉食系な獰猛ピアニスト

というようなイメージが強いのかもしれないが、この演奏に関しては決してそんなことはない。

曲のツボをよく心得たピアノだ。

そのうえ、ベースはオーネットと共演していたチャーリー・ヘイデンだ。

曲の「要」の部分は外しようがない。

勢いにのるとモリモリと旺盛な勢いでピアノを弾くルバルカバだが、この曲のテーマの処理は、テーマの音符をうまく間引いたり、タメを効かせて後ろに引っ張るようなニュアンスで弾いているのが面白い。

誰がどう演奏しても、必ず「オーネット匂」がどこかに必ず漂ってしまう《ザ・ブレッシング》という曲だが、この演奏も例に漏れず、ルバルカバ臭は少し影を潜め、そのぶんちょっとだけオーネット臭のパーセンテージが高くなっている。

アルバムの中の気の効いた箸休め。

そして流れの中での良いアクセントになっているこの演奏。

とかく《ジャイアント・ステップス》や《ブルー・イン・グリーン》のような「大名曲様」のほうに目が行き勝ちかもしれないが、改めてオーネットの小粋な小曲の名演奏を聴きなおしてみよう。

少なくとも私は無粋な《ジャイアント・ステップス》の大袈裟な演奏よりもずっと好きだ。

記:2007/03/13

album data

THE BLESSING (Somethin' Else)
- Gonzalo Rubalcaba

1.Circuito
2.Sandino
3.Besame Mucho
4.Giant Steps
5.Sin Remedio,El Mar.
6.Silber Hollow
7.The Blessing
8.Blue In Green
9.Sinpunto Y Contracopa
10.Mina

Gonzalo Rubalcaba (p)
Charlie Haden (b)
Jack DeJohnette (ds)

1991/5/12-15

 - ジャズ