ライト・フット/ルー・ドナルドソン

      2022/09/03

盲目のピアニスト、ハーマン・フォスターと、土臭いうねりを加味するコンガのレイ・バレットが参加しているルー・ドナルドソンのリーダー作に駄作なし! と私は思っている。

ルーさんに、この2人のメンバーが加われば、アーシーかつ肩の凝りがほぐれるようなノリと親しみやすさと哀愁がほどよくブレンドされた素敵な音楽が生み出される。

肩の凝りがほぐれるような適度なアーシーさ、そして、哀感漂うのだけれども、決して過剰なセンチメンタルさに陥らない「寸止め哀愁」。

この2つが、バランス良くブレンドされたテイストがたまらない。

そして、このテイストをかもし出すのは、この2人による功績が大きいと感じている。

このリズムに、シンプルで芯の通った、よく通るドナルドソンのアルトがかぶされば、親しみやすさの中にも哀愁の漂う、独特のフレバーが生まれるのだ。

他の同一メンバーのアルバム(たとえば『ブルースウォーク』など)と本盤の大きな違いは、録音現場のやり取りも収録されているところだろう。

《ホッグ・マウ》という曲だが、演奏の出だしがミスって、いったん中断したところに、エンジニア(ルディ・ヴァン・ゲルダー)の声が入るのだ。

通常なら商品化される際に、カットされてしかるべき箇所を、あえてそのまま残して、現場の生々しい雰囲気を醸し出したのは、あきらかにマイルスの『リラクシン』の影響だろう。

どの演奏も素晴らしいが、個人的には《ウォーキン・バイ・ザ・リヴァー》と、《星影のステラ》がおススメ。

地味盤なんだろうけど、こういうアルバムを聴いて、「く~、たまらんなぁ~」と煙草をくゆらせる人と、もっとお友達になりたい(笑)。

名盤『ブルース・ウォーク』とともにオススメしたい、気さくなアルバムです。

記:2010/04/11

album data

LIGHT FOOT (Blue Note)
- Lou Donaldson

1.Light-Foot
2.Hog Maw(False Start)~Hog Maw
3.Mary Ann
4.Green Eyes
5.Walking By The River
6.Day Dreams
7.Stella By Starlight

Lou Donaldson (as)
Harman Foster (p)
'Peck' Morrison (b)
Jimmy Wormworth (ds)
Ray Barretto (conga)

1958/12/14

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 - ジャズ