リユニオン・ブルース/オスカー・ピーターソン

   

片時も退屈することのないクオリティ

オスカー・ピーターソンとミルト・ジャクソンの再会セッションだ。

ピーターソンはヴァーヴ時代に『ヴェリー・トール』という作品をミルト・ジャクソンと共に吹き込んでいるが、それから10年後の再開セッションが本作だ。

奔放にマレットを叩きまくるミルト。
MJQ時の彼のプレイと比較すると、抑制の箍(たが)が少し外れている印象を受けるが、だからこそ良い。

いつものように饒舌ながらもツボを押さえたピーターソンのプレイも好調。

アップテンポで流れるような疾走感が心地良い 《サティスファクション》は、なんとローリング・ストーンズの曲。

ベニー・カーターの《ドリーム・オブ・ユー》にミルトの叩き出すヴァイブの音が優雅で夢見心地な《いつか王子様が》、ミルトをフィーチャーした 《ア・タイム・フォー・ラヴ》、『ヴェリー・トール』でも演奏されていた 《リニユニオン・ブルース》はミルトの作品。

美しい《ホェン・アイ・フォール・イン・ラヴ》に、ライオネル・ハンプトンの《レッド・トップ》と、どれも楽しい演奏ばかり。

退屈する隙間など微塵も無い。

素晴らしい音質

まさに名手と名手同士の、バトルにならない高度な駆け引きと協調は、セッションという形式にもかかわらず、クオリティの高い演奏として仕上がっている。

MPSレーベルのどのアルバムにも共通することだが、本盤も例に漏れずに録音も素晴らしい。
クリアで力強い。
特にミルトのヴァイヴの音色は涼しげでふくよかな立体感もある。

音に浸るだけでも心地よい気分にさせてくれるアルバムだ。

秀逸なジャケット

私はこのアルバムのジャケットも好きだ。

デザイン、というよりもアイディアが秀逸。

違う色の4本のコンセントがプラグに差し込まれている図柄だが、きっと、4人のジャズマンの異なる色(個性)が、一つの演奏に溶け合っているということを象徴的にあらわしたデザインなんじゃないかと思っている。

よく見ると、ミルト・ジャクソンを表しているコンセントが少し抜けかけているところが面白い。

ピーターソン・トリオ+ミルト・ジャクソンということを視覚的に表現しているのだろう。

なかなかのアイディアだと思う。

album data

REUNION BLUES (MPS)
- Oscar Peterson

1.Sutisfaction
2.Dream Of You
3.Someday My Prince Will Come
4.A Time For Love
5.Reunion Blues
6.When I Fall In Love
7.Red Top

Oscar Peterson(p)
Milt Jackson (vib)
Ray Brown (b)
Louis Hayes (ds)

1971年07月

記:2002/05/03

追記

溌剌、爽快!

久々に聴きましたが、やっぱりいいですね。

冒頭の《サティスファクション》が始まって数秒後には、鬱な気分が一新されることでしょう。

メリハリあって涼やかで。
音も鮮やかな輪郭で、パワフル。

たっぷり「陽」のエネルギーをいただくことができますよ。
(・∀・)b

うーん、気持ちが良いね、《いつか王子さまが》。

ミルト・ジャクソンとオスカー・ピーターソンの心地よく躍動感あふれる『リユニオン』。

これは、特にピーターソンのファンではない私も、大のお気に入り盤なのです。

昔から1曲目の《サティスファクション》が好きだったんだけど、最近は《いつか王子さまが》ばかり聞いています。

年をとったのかなぁ。

記:2016/05/13

 - ジャズ