シェイズ・オブ・レッド/フレディ・レッド

   

マクリーンがいい!

これ、本当にいいアルバムだよなぁ。

何がイイのかって、ジャッキー・マクリーンのアルトが泣けてくるのだ。

いやぁ、素晴らしい!!

私はマクリーンのファンなので、正直、マクリーンが聴ければなんでも良いのだが、だったら、彼の音色やプレイにピタリとマッチした曲を聴きたい。

その点、フレディ・レッドの作った曲は、まるでマクリーンのために作られたんじゃないかと思うぐらい、マクリーンのアルトの特性と曲想がピッタリと合っているのだ。

曲も演奏もサイドメンも全部良い

特に冒頭の曲、《セスピアン》が良い。

一番最初に、テーマのメロディを聴いた瞬間は、なんだ単なるアルペジオじゃんかよ、とも思ったのだが、マクリーンの泣くようなアルトの音色で吹かれると、もうなんだかしみじみと哀愁が漂ってくるから不思議だ。

バックで、「ズーーーン」とアルコを弾くポール・チェンバース奏でる低音も効果をあげているし。

アドリブの前半が終わると、一転してテンポが速くなるのだが、マクリーン熱演! テナー・サックスのティナ・ブルックスも熱演を繰り広げる。

ルイス・ヘイズの煽り立てるドラムも良いし、後に展開されるフレディ・レッドのピアノソロも哀愁熱演。

全力疾走なのに、熱く、哀しく、切ないこの演奏を聴いているうちに、自然と涙腺が緩んでしまう。

哀愁レッドとマクリーン

フレディ・レッドというピアニストは、プレイも哀愁だが、書く曲も哀愁漂うものが多い。

派手さやキャッチーさはないが、じっくり聴くと、非常にドラマティックな展開をする曲が多いことも特徴。

この彼の作曲の才能が花開いたのが、同じブルーノート盤の『ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション』というアルバム。

このアルバム、『ザ・コネクション』というジャンキーを描いた舞台劇のサントラで、ここでのサックスも、やはりマクリーン。

ちなみにマクリーンもレッドも、この映画に出演しているようです(未見)。

ホンのちょっと音程が外れているんだけども、ひた向きに吹きまくるマクリーン。

フレージングと音色が、どこか哀しいマクリーンのアルトサックス。

そんなマクリーンがレッドの曲を吹くと、なんだかそれだけでハードバップのオイシイところ、最良の部分をたっぷりと味わっているような気分になってしまうから不思議だ。

ワン・ホーンでマクリーンを楽しめる『ザ・コネクション』も良いが、個人的な曲の好みでいうと、『シェイズ・オブ・レッド』の方が私の好みにピッタリと合う。

マクリーンのアルトのほかに、ちょっとくすんだ音色が魅力のティナ・ブルックスのテナーサックスも楽しめることが大きい。

「哀愁のハードバップ」という言葉があったかどうかは知らないが、まさにこのアルバムこそ、「哀愁のハードバップ」という形容がピッタリなアルバムだと思う。

これぞ、ハードバップ!
これぞ、ブルー・ノート!

記:2005/01/11

album data

SHADES OF REDD (Blue Note)
- Freddie Redd

1.Thespian
2.Blues, Blues, Blues
3.Shadows
4.Melanie
5.Swift
6.Just a Ballad for My Baby
7.Ole

Freddie Redd (p)
Jackie McLean (as)
Tina Brooks (ts)
Paul Chambers (b)
Louis Hayes (ds)

1960/08/30

 - ジャズ