ベースとヴォーカル 2人編成のシンプルライヴ
2021/02/10
先日、六本木の「バックステージ」にてヴォーカルとベースのデュオでライブを行った。
ユニット名は「さかなやさん」。
ヴォーカルの大学生女子が、なかば勢いで命名した名前だが、なんとなく我々がかもし出す音の雰囲気を象徴していたような感じがしないでもない。
必要最小限の音だけで構成された音空間ゆえに、ライブハウス全体が非常に張り詰めた雰囲気になり、むしろ観客の方が緊張してしまうぐらいの空気感だったと思うが、我々演奏者にとっては、心地良い緊張感と充実感を味わうことが出来た。
映画『ラウンド・ミッドナイト』で、デクスター・ゴードンが演じる幻のテナーサックス奏者、デイル・ターナーは、ヴォーカルの女性から「歌うときはベースを聴くようにとアドバイスをしてくれたのはあなたよ」と感謝される場面があるが、いうまでもなくベースはいわばアンサンブルの屋台骨だ。
この屋台骨であるベースとヴォーカルのデュオという編成は、楽曲の「骨格」だけを提示するという、送り手としては非常に挑戦しがいのあるフォーマットで、ちょっと思い出しただけでも、ロン・カーターとヘレンメリル『デュエッツ』、
ブリジット・フォンテーヌの『』に収録され、マラカイ・フェイバースが骨太なウッドベースで歌に波動を送り込んでいる《私は26歳》、
ホリー・コールとデビッド・ピルチが、一時期ライヴでも演奏していた《バイ・バイ・ブラックバード》、
カーメン・マクレエとチャック・ドマニコの《サテン・ドール》の前半部などが挙げられるが、
それだけ多くのジャズマンが好んでトライしているということなのだろう。
もっとも我々がトライしたのはジャズではなく椎名林檎のナンバー中心だったが。
(^▽^)/
林檎が書く曲には骨格だけの演奏でも充分耐えうる良さが確かにあるのだ。
ベース弾きにとっては演奏しがいのある曲であり、ヴォーカルからしてみれば歌いがいのあるメロディの宝庫なのだといえるだろう。
記:2000/10/05(from「ベース馬鹿見参!」)
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