チャーリー・マリアーノ・カルテット/チャーリー・マリアーノ
秋吉敏子の元ご主人のチャーリー・マリアーノのアルバム。
スタンダードを中心とした選曲のワンホーン作品だ。
趣味の良いストレートなアルトだと思う。明快な音色とフレージング、ま ろやかなソニー・クリスとでも言うような親しみやすさと、安定した演奏 が楽しめる。
なお、私が所有しているのは、ベツレヘム盤ではなく、フレッシュサウン ド盤のほうだ。
オリジナルに4曲が追加されており、うち3曲ではマリアーノはテナーを 吹いている。
アルバムのデータには、録音は1954年7月11の録音となっているが、正確に は、1955年6月16日から29日の中の1日を使って録音されたようだ。
というのも、当時のマリアーノはスタン・ケントン楽団に在籍していて、 これを録音した日はケントン楽団がニューヨークに出演中の時だったから だ。
ケントン楽団がニューヨークの「バードランド」に出演していたのが、1955年6月16日から29日の間。
したがって、この2週間の間のどれか1日が録音された日と推測される。
録音スタジオは、ブルーノートのレコーディングでお馴染みのルディ・ヴァン・ゲルダースタジオだ。
ワン・ホーンのマリアーノは、あたかも口笛を吹いているかのような快調さ。月並みだが、本当にうまいサックスだと思う。
リズム陣のサポートも堅実なので、非常に滑らかで聴きやすい作品になっていると思う。
いささかスリルには欠けるきらいもあるが、そのぶんリラックスして聴ける好盤だと思う。
もちろんアルトのバージョンも素晴らしいが、どういうわけか私はテナーを吹いているボーナストラックがお気に入りだ。
感傷的になり過ぎない《アイ・シュッド・ケア》や、テナー1本で低音と高音を巧い具合に織り交ぜながら吹く《マンテカ》が良い。
また、これもボーナストラックで彼がテナーを吹いている曲だが、《ギヴ・ア・リトル・ホイッス》ルも聴くたびに気になる一曲。
口笛や合いの手的なヴォーカルが入っているからかもしれない。
少し“照れ”の入り混じった口笛とヴォーカルは、聴いているこちらまでこそばゆい気分になってしまう。
パーカーの《ヤードバード組曲》を彷彿とさせる明るいメロディはとても魅力的なんだけどね。
記:2003/05/05
album data
CHARLIE MARIANO QUARTET (Bethlehem→Fresh Sound)
- Charlie Mariano
1.Johnny Onte Note
2.The Very Thought Of You
3.Smoke Gets In Your Eyes
4.King For A Day
5.Darn That Dream
6.Floormat
7.Blues (Traditional)
8.I Heard You Cried Last Night
9.Manteca
10.It's You Or No One
11.I Should Care
12.Give A Little Whistle
Charlie Mariano(as,ts)
John Williams (p)
Max Bennett (b)
Mel Lewis (ds)
1955/06月