モンタレー・ジャズ・フェスティヴァル1963/マイルス・デイヴィス

   

進化の過程がわかる音源

トニー・ウィリアムス、ロン・カーター、ハービー・ハンコックのリズムセクションによるライブアルバムは、

『フォア・アンド・モア』
 ↓
『イン・ヨーロッパ』

と、時代を遡るカタチで聴くと、なるほど、あの物凄いリズムセクションも、じつは、たび重なるライブ演奏の累積で、急速に進化を遂げていったのだということがよくわかり、なぜか妙に安心したりするんですね(笑)。

遡って聴くと、あのスゴいリズムセクションも、一朝一夕であのような形態になったのではなく、最初は比較的オーソドックスな内容からスタートしているんだということがよくわかります。

その反対に、今度は改めて、『イン・ヨーロッパ』から時代を追って『イン・トーキョー』→『イン・ベルリン』まで聴き進むと、急速に進化発展を遂げ行くマイルス・黄金のリズムセクションの凄さを実感することが出来るのです。

最近発売された『モントレー・ジャズ・フェスティヴァル1963』は、『イン・ヨーロッパ』と『フォア・アンド・モア』の中間地点に在する音源。

西海岸で行われたジャズフェスでの新メンバーお披露目コンサートに近い内容かもしれません。

だから、《枯葉》、《ソー・ホワット》、《星影のステラ》、《ウォーキン》という当時の代表的レパートリーも、よく言えばマイルド、悪くいえばユルめのテンションで牧歌的にすら聴こえてしまうところが面白い。

特に未来の演奏『フォア・アンド・モア』を知ってしまった耳にはそう響いてしまうのはいたしかたのないところ。

もちろん、演奏は悪くないし、特にジョージ・コールマンが漢(おとこ)!!って感じで、たぶん、この時期のメンバーの中ではいちばん幅を利かせているのではないかな。

未発表音源だったとはいいつつも、音は良く、テンションゆるめと書きましたが、それはあくまで後年の演奏と比較をした場合の話で、このライブの演奏そのもののクオリティは決して低くはありません。

すべてのマイルスファンにオススメしたいライブ盤ですね。

記:2012/10/04

album data

LIVE AT THE 1963 MONTEREY JAZZ FESTIVAL (Monterey Jazz Fest)
- Miles Davis

1.Waiting For Miles
2.Autumn Leaves
3.So What
4.Sttella By Starlight
5.Walkin
6.The Theme

Miles Davis (tp)
George Coleman (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

1963/09/20

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