モーニン/アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ

   

ティモンズのピアノにぞっこん

最初は、ボビー・ティモンズの酔っぱらって、のたくりまくった「べらんめぇピアノ」に夢中になった。

彼は、このアルバムの目玉曲《モーニン》の作曲者。

そして、お爺さんは教会のオルガン弾きだったのだという。

なるほど! だからピアノをオルガンのように弾くのか。

リー・モーガンのラッパにぞっこん

次いで、ブリリアントで、ちょっとヒネているがイキの良いリー・モーガンのラッパがカッコイイ思った。

《モーニン》のアドリブの出だしのフレーズは、これ誰が聴いても一度で覚えてしまうほどのインパクトだからね。

アドリブの細かなところのニュアンスの付け方が、いちいちトッポい。

そこがイイんだよね。

ジミー・メリットのベースにぞっこん

しばらくすると、このファンキーなノリは、ジミー・メリットのモゴモゴとしたビッグトーンにあるんじゃないかと思いはじめ、ベースを中心に聴いていたこともある。

特に《モーニン》のベースソロは、モゴモゴ度が高いのだけど、これが演奏の中での良い箸休めになっているんだよね。

ゴルソンコントロール

そして今では、ホゲホゲとクダを巻いているベニー・ゴルソンこそが、このアルバムをこのアルバムたらしめているんじゃないかとすら思っている。

とにかく下品&野暮になる半歩手前に踏みとどまりながら、ファンキーなる熱狂を音はホット、構成はあくまでクールにコントロールをしながら、このアルバム全体のムードに明確な輪郭を与えている。

しかし、いつだって「もーにん」と聴いてパッと頭に思い浮かぶのは、ジャケット一杯の、アート・ブレイキーの大きい顔だったりする。

記:2002/08/22

album data

MOANIN' (Blue Note)
- Art Blakey And The Jazz Messengers

1.Moanin'
2.Are You Real
3.Along Came Betty
4.The Drum Thunder Suite
First Theme:Drum Thunder
Second Theme:Cry A Blue Tear
Third Theme:Harlem's Disciples
5.Blues March
6.Come Rain Or Come Shine

Art Blaker (ds)
Lee Morgan (tp)
Benny Golson (ts)
Bobby Timons (p)
Jymie Merritt (b)

1958/10/30

追記

《モーニン》の作曲者、ボビー・ティモンズは自分がリーダーの作品『ジス・ヒア』中で、ピアノトリオでこのナンバーを再演しているが、やはり管がはいったフォーマットのほうがイイね。

より一層、後半に登場するティモンズの「巻き舌ピアノ」の有難味が増すしね。

記:2017/05/16

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