ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.1/セロニアス・モンク

   

「ニードント」、スリリングなピアノトリオ

セロニアス・モンクの生涯において最多演奏曲といわれている《ウェル・ユー・ニードント》。

このナンバーのごくごく初期の段階での録音がこのブルーノート盤ではピアノトリオで聴くことが出来る。

個人的には、数ある演奏バリエーションの中でも、このアルバムに収録されたバージョンがいちばん好きだ。

スピード感があり、攻撃的なニュアンスをも含んでいるからだ。無駄な贅肉が削ぎ落とされたモンクのアドリブが素晴らしく、脈打つ鼓動を提供しつづけるリズムセクションのパワーにも目をみはるものがある。

モンクのピアノを力強くプッシュする肉厚なドラムの主はアート・ブレイキー。

バド・パウエルにはマックス・ローチが最適なドラマーだったが、セロニアス・モンクにとってはアート・ブレイキーこそがもっとも相性の良いドラマーだったことがよく分かる。

後年様々なアレンジやテンポで演奏される《ウェル・ユー・ニードント》だが、やはりモンクが30歳を過ぎて、ようやくめぐってきたレコーディングのチャンスに、水を得た魚のように、これまでのありったけを開放した勢い溢れた演奏には、我々聴き手の心を揺さぶるだけのパワーが込められている。

記:2010/12/04

album data

GENIUS OF MODERN MUSIC vol.1 (Blue Note)
- Thelonious Monk

1.'Round Midnight
2.Off Minor
3.Ruby My Dear
4.I Mean You
5.April In Paris
6.In Walked Bud
7.Thelonious
8.Epistrophy
9.Misterioso
10.Well You Needn't
11.Introspection
12.Humph

#7,12
Thelonious Monk (p)
Idrees Sulieman (tp)
Danny Quebec West (as)
Billy Smith (ts)
Gene Ramey (b)
Art Blakey (ds)

1947/10/15

#2,3,5,10,11
Thelonious Monk (p)
Gene Ramey (b)
Art Blakey (ds)

1947/10/24

#1,6
Thelonious Monk (p)
George Taitt (tp)
Sahib Shihab (as)
Robert Paige (b)
Art Blakey (ds)

1947/10/24

#4,8,9
Thelonious Monk (p)
Milt Jackson (vib)
John Simmons (b)
Shadow Wilson (ds)

1948/07/02

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