ロンドン・コレクション vol.1/セロニアス・モンク
味わい深いジャケ写
モンクのラストレコーディングは、ロンドンで吹き込まれた。
録音された内容は、3枚の『ロンドン・コレクション』として発表されている。
この3枚を飾るモノクロのジャケ写は、どれもが味わい深いと個人的には感じている。
この第一集には、スタジオにアート・ブレイキーとアル・マッキボンがあらわれる前のモンクのソロのみが収録されている。
枯淡の境地
私はいつもこの3枚を複雑な思いで聴く。
最後のレコーディングだという先入観もあるだろう。
しかし、枯淡の境地といえばいいのだろうか?
この尋常ではない淡々さは、一体何なのか?
演奏内容はいつものモンクと何ら変わりがない。
しかし、そこにはモンクの意志が介在しない抜け殻ピアノが、無人の部屋で延々と鳴り響いているような静謐さを感じてしまうのだ。
涼しく虚無な世界。
演奏に激しく引き込まれるわけではないが、淡々としていながらも、結局は最後まで聴きとおせてしまうこのアルバム、私は決して嫌いではない。
ピアノソロのみのvol.1
不思議な音の佇まいが封印されているロンドン・レコーディング・シリーズのvol.1。
最近では、第一集から三集をまとめたセットも発売されているが、個人的には、モンク最後ピアノソロのみがパッキングされた『vol.1』をひとつの不思議な音の固まりとして手元に置いておきたいと思っている。
記:2012/10/01
album data
THE LONDON COLECTION vol.1 (Black Lion)
- Thelonious Monk
1.Trinkle Tinkle
2.Crepuscule With Nellie
3.Darn That Dream
4.Little Rootie Tootie
5.Meet Me Tonight In Dreamland
6.Nice Work If You Can Get It
7.My Melancholy Baby
8.Jackie-Ing
9.Lover Man
10.Blues Sphere
Thelonious Monk (p)
1971/11/15