木曜ドラマ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐』観ながらメモ
2021/02/11
第1話
かつては只野仁だった高橋克典。
今回の『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐』では、前クールの『特命刑事 カクホの女』に引き続き「悪い警察の人」役ですな。
なんだか最近の高橋克典はエリートっぽい「悪い警察の人」が板についてきているような気がする。
かつては、弱きを助け悪しきをくじく特命係長だった高橋克典も、最近では、弱きをくじく役にスイッチしている感じも。
あと5年もすれば船越英一郎的役柄とポジションを獲得しているのかもね。
で、肝心のドラマの内容ですが、まんま『巌窟王』じゃん。
というか、『巌窟王』イコール『モンテ・クリスト伯』のことだから、現代版かつ日本版の『巌窟王』ってことなのでしょう。
ちなみに、『巌窟王』といえば、作者はアレクサンドル・デュマ・ペールですが、⒛歳半ばまで私はシェイクスピアが書いた話だと思っていた。アホですね。
それから『巌窟王』といえば、新谷かおるの『エリア88』を思い出します。
この漫画は、柳沢きみおの『青き炎』&『DINO』や、かわぐちかいじの『沈黙の艦隊』、そして、鴨川つばめの『マカロニほうれん荘』とともに、私の中では何度も何度も読み返した青春の思い出漫画の一つです。
親友に裏切られ、中東の内戦の国に傭兵として売り飛ばされた主人公を描いた『エリア88』も、この基本設定は『巌窟王』がベースにあるのは言わずもがな。
美しい婚約者がいて、誰からも愛されるイケメン&いいヤツは、嫉妬の対象となり、地獄の一丁目に売り飛ばされる運命なのでしょう。
『エリア88』の風間真は、津雲涼子という美しいだけではなく、航空会社の社長令嬢という申し分のない「身分」の女性と婚約者な上に、パイロットとしての腕も評価されており将来を嘱望されていた若者でした。
いっぽう『モンテクリスト伯』の主人公のディーン・フジオカは、山本美月という婚約者がいる上に(結婚式中に逮捕された)、遭難してエンジンもGPSも壊れた漁船を星の動きを観測しながらの航海で、見事、母港に帰還したことこからメディアに取り上げられ世間かたも注目を浴びた「時の人」。
ブサメンだったり、仕事がうまくいってなかったり、努力が空回りしている男たちからしてみれば、こういう存在は疎ましいのでしょうな。
で、引きずりおろしてやろう、辛酸を舐めさせてやろう、売り飛ばしてやろう、幸せを奪ってやろうなどといった、フォースの暗黒面がムラムラと渦巻くのでしょう。
嗚呼、男の嫉妬は怖い怖い。
いや、本当に思うんですが、自分にとって面白くない相手を引きずり降ろしてやろうという男の「悪の情念」のようなものは、本当に凄まじいものがありますよ。
私は風間真やディーン・フジオカのようにイケメンでも能力のある人間でもなく、ごくごいう平凡な小市民なのですが、そんな私ですら、長年生きていれば、潰してやろう、引きずり降ろしてやろう、なんとか尻尾をつかんでやろうというオトコからの凄まじいやっかみ体験の一度や二度は経験しています。
女性の嫉妬は、その場のピーピーギャーギャーと騒がれるような修羅場のみで済むのですが、オトコのダークな情念は、そのような「見える化」できない静かでドロドロと渦巻く悪意の空気がねちっこく絡みついてくるから厄介です。
たとえば、ですよ。
一例を挙げるとするとするなら、シュレッダーにかけて破棄した書類や原稿を、セロハンテープでつなぎ合わせる輩が出てきたり、ゴミ出しをしたビニール袋の中をあさってアラ探しをしたりとか。
おいおい、お前はストーカーかよ、そんなに俺のこと好きなんかよ?な世界ですよね?
そんな面倒くさいことを日々出来るだけの根気とバイタリティがあるならば、そのエネルギーを仕事のほうに向ければ良いのに。たとえば営業職だったら、それぐらいの行動力と(良い意味での)しつこさがあれば、確実に社内トップレベルの成績をおさめるほどの成果を挙げられるのにと思うんですよ。
しかし、どうも嫉妬のエネルギーを、自分を高めることよりも、相手を貶めるほうに使う輩も時にはいるんですよね。
ああ、オトコの嫉妬は怖い怖い。
特にイケメン諸氏や、仕事が出来るビジネスマン、周囲から注目を集めていたり、世間から一定の評価を得ている男性は、見えない敵(身近な人が多い)から足元をすくわれぬよう、そして「脇が甘かった!」とならぬよう注意してください。
昔から「佳人(美人)薄命」とはよく言われますが、嫉妬と憎悪の対象となりがちな「いいオトコ」だって、見えない敵からの水面下の攻撃によるストレスから案外、微妙に命を縮めているのかもしれません。
もっとも今回のドラマの主役、ディーン・フジオカは薄命ではなさそうだけど。
原始的で荒っぽい拷問を耐え抜き、今のところちゃんと生きています。
そして、見事「岩窟」から脱出を果たし、サブタイトルにもあるように「華麗に」復讐を遂げていくのでしょう。
拷問といえば、そういえばディーン・フジオカはラデル共和国でホースで何度も水をぶっかけられて拷問を受けていますが、「水拷問」で思い出すことといえば、その昔、北川景子主演の『探偵の探偵』で、北川景子を襲った探偵を自白させるためにペットボトルの水を使った拷問をしていました。
まさか、水拷問した人が同じ手法で拷問されることになるとは思ってもいなかったことでしょう。
関連記事
>>『特命刑事 カクホの女』観ながらメモ
>>特命係長 只野仁 試写レポート
>>『青き炎』の海津龍一と『DINO』の杉野ディーノ
>>ダイアン・リーヴスと『マカロニほうれん荘』のキンドーさん
第2話
しまった!
録画されてなかった!
w(゚ロ゚;w
第3話
先週の第2話は、録画予約ミスで観ることが出来ませんでしたが、たった1話を観るのを逃しただけで、話がえらく進展していたので驚き。
なんと、山本美月は大倉忠義と結婚しているし。
しかも、1話では売れない役者でオーディションに落ちまくっていた大倉忠義も今では、人気俳優とし、豪邸を構えるまでになっているし。
ちなみに山本美月は料理研究家として注目を浴びる存在になっていますね。
新井浩文は不動産会社の社長になっているし。
高橋克典は警視庁刑事部長に出世しているし。
ラデル共和国で囚われの身となったディーン・フジオカが、田中泯と共に何年もかけて脱出のためのトンネルを掘っている間に、彼を裏切ったり売ったりした人物たちは社会的地位を手に入れるまでに躍進していたんだね。
で、そんな彼らへの復讐の序幕が上がるというのが今回のストーリーの骨子。
じわじわと、たっぷりと痛めつけながら彼らに復讐したいようですよ、ディーンフジオカは。
今回ツボだったのが、鎌田恵怜奈が描いたお母さん(=山本美月)の絵。
斜視である彼女の眼球の特徴をうまく捉えた絵が大倉忠義亭の居間に飾られていました。
斜視といえば、テリー伊藤や新垣隆は斜視過ぎるので除外しますが、芸能人には斜視の人って意外と多いんですよ。
以前、米倉涼子とダイビング・ビートルという記事にも書きましたが、微妙に眼球が軸線からズレている人のほうがなぜか魅力的に見えてしまうのが人間の認識の不思議なところ。
有名どころだと、山P(山下智久)や綾瀬はるか、それに浅田真央も斜視ですね。
さらに、思いつくままに列記していくと、広末涼子、鈴木保奈美、窪塚洋介、オダギリジョー、二階堂ふみ、西内まりや、篠田麻里子、伊野尾慧、山田涼介、雛形あきこ、小倉優子、三宅建、高橋朱里、矢口真里、白石麻衣、小松菜奈、堀北真希も斜視ですね。
あの指原莉乃も斜視ですから、さして美人顔ともいえない彼女が(失礼!)人気をキープしている理由の何割かは斜視も関係している?
ほんの少しだけ眼球が中心からズレていたほうが「どこを見ているかわからない」⇒「だから、その人のことが気になる」⇒「また見たい」という欲求に繋がるようです。
ちなみに私も微妙に斜視でして、それは小学低学年の頃、布団の中で懐中電灯を垂らしながら江戸川乱歩やシャーロックホームズを枕元に置きながら読むのが趣味だったため、そうなっちゃったようです。
しかし、だからといって斜視気味だからといってモテたわけではありません(涙)。当たり前だけど、やっぱり芸能人と一般人の斜視は違うのです。
そういえば、一度だけ、以前お付き合いしたことのある女優の卵の方から「右と左の眼の動きがほんの少しだけ一致していないところを見ていると濡れてしまう」と言われたことがあるのですが、私の斜視について人から言われたことってそれぐらいかなぁ。
FODで第2話を観る
結局逃した第2話が気になったので、FODに登録して観てしまいました。
なるほど、そうやって牢獄の中で数か国語を身に着け、そうやって脱出して、故郷に生還し変わり果てた現実に直面し、シンガポールに行って大富豪になったわけですね。
しかし、第3話を観た時も思ったのですが、一人ぐらい目の前の得体のしれぬ男がディーン・フジオカだと気が付かないものなのかな。
誰もが「彼は死んだ」と思っているから、まさか目の前の人間が、ディーン・フジオカだという発想そのものが思い浮かばないのかもしれないですね。
これで思い出すのが『ガタカ』。
最後の医師のセリフが感動的な映画ではあるのですが、この映画で描かれる世界は、DNAで適正者と不適正者が「差別」される近未来のお話し。
『モンテクリスト伯』とは逆なのですが、この映画は人の先入観で、外見がまったく違う別人のことを同一人物として接するシーンが出てきます。
「DNA適正者」という先入観だけで、目の前の人物は、まったくの別人にもかかわらず「その人」だと思い込んで何の疑いもなく接しているシーンがあるんですよ。
意外と人間って、目の前の目に映っている情報そのものだけではなく、データとか思い込みで人を見ている要素も多いのだなと改めて感じますね。
第4話
サブタイトルは「華麗なる復讐」ですが、実際は「陰湿なる復讐」と化してきた感のある第4話でした。
まさか、互いが母と子と知らぬ親子を近親相姦させる方向に持っていくとはね。
エグいわ、おディーン。
というより、よくそこまで調べたね。
短期間で。
よくそこまで復讐のシナリオを考えたね。
短期間で。
シンガポールで莫大な遺産を手にし、投資会社を作って、そして1年後に「復讐」の狼煙をあげたわけだから、1年未満で、各復讐相手と近親者のことを徹底的に調べ上げて(DNA鑑定までしているし)、そのデータを元に、まわりくどい復讐のプロセスを考えたということになるからね。
そして、今後、さらにじわじわとエスカレートしていくであろう復讐のプロセスを楽しんでいるわけだから、どれだけ深い恨みを抱いているかが窺い知れます。
フィクションなんだし、どうせやるなら徹底的にやって欲しいと思います。
後半は良心の呵責に苛まれて思いとどまる的な展開は無しにして欲しいですね。
柳沢きみおのマンガ『青き炎』の海津龍一みたいに、最後の1コマまで、徹頭徹尾悪を貫いて欲しいものです。
でも、ディーン・フジオカの場合は、根っこの部分は善人ですからね。
「あの一件」がなければ、今頃は普通の漁船の船長として、そして山本美月の良き夫として平凡で幸せな生活を送っていたはずの人ですから。
そんな普通のいい人が、自分を売ってひどい目にあわせた連中がいたから、そんな連中仕返しをするために、悪人になったようなもの。
今回、新井浩文が「人間の根っこは変わらねぇよ」と言っていました。
もし、彼の言葉どおりならば、陰湿かつ残忍な復讐を遂行中のディーン・フジオカの根っこもまだ「善人」な部分が残っているのかもしれません。
そうすると、彼は柳沢きみおのマンガで言えば、海津龍一よりもむしろ杉野ディーノに近いのかもしれません。
彼も復讐の鬼でしたが、社長である父を会社から追い出した連中がいなければ、普通のボンボンに育っていたでしょう。
海津龍一や、楡周平『Cの福音』の朝倉恭介のように根っからの悪ではなく、「そういう境遇」になってしまったから、仕方なく「そういう境遇」に陥れた奴等に天罰を下そうと奔走する。
しかし、最後は改心して仕事を辞め、「母と彼女の3人でひっそりと暮らした」、つまり、平凡な人生を送る平凡な人間に戻っています。
ディーン・フジオカにも平凡な人生を送れる平凡な人間に戻れる日は来るのでしょうか。
第5話
どんどんエスカレートしてゆく復讐。
いいねぇ、いいねぇ。
このドラマに限らずだけど、復讐ものって、なんで面白いものが多いのだろう?
べつに個人的には追いつめてなぶり殺しにしたいような人ってこれまでの人生の中には一人もいないけれども、なぜか、他人の(物語中の人物の)復讐劇って、他人事だからこそかもしれないけれども、面白く見れてしまうんだよね。
第6話
ターゲット、一人死亡。
それはそうと、高杉真宙と美蘭ちゃん(岸井ゆきの)のカップルは見ていて微笑ましいよね。
復讐劇が佳境に突入すればするほど、エグくなればなるほど、あの2人の姿を見るとホッとする。
最終的には、エスカレートしてゆくディーン藤岡のストッパーとしてあの2人の存在が機能するのか否か。
第7話
今回も復讐されるべきターゲットの人間が一人死亡(自殺)。
ただ、残るターゲットの高橋克典や新井浩文もディーン・フジオカの正体に勘付きはじめた。
これまでのように一方的というわけにはいかなくなってきた今後の展開が楽しみになってきましたな。
第8話
大倉忠義、前回のラストシーンで首吊ったから死んだのかと思ったら、生きてたのね。
復讐に燃えていたはずの桜井ユキが助けちゃったわけで、現在病院に入院中。
未蘭ちゃんが飲んだ薬、今回観るかぎりにおいてだと「ど、ど、ど、ど毒っすか?!」なんだけど、『巌窟王』の原作を読んでいれば、おそらくは……、たぶん、そういうことなんじゃないかと思うんだけど、たぶんそういうことになるんだろう。
次回2時間スペシャル。
ドロドロなクライマックスが期待できそう。
あっさり終了はやーよ。
~つづく