薔薇色の明日/高橋幸宏
YMO散開直前に発表されたソロアルバム
上質な大人のポップだ。
高橋幸宏のロマンティックな面、ナイーヴな面が見事に上質なポップとして昇華された素晴らしい一枚だと思う。
日本語の歌詞は、ちょっとクサいけどね。
《6月の天使》や、ニッカウイスキーのCFソングの《前兆(まえぶれと読みます)》のように、ちょっと照れちゃう曲もあるにはあるが、それを補って余りあるクオリティの高いバックのサウンドが、そういうクサみを相殺してくれている。
『音楽殺人』や『ニウロマンティック』のようなトンがった幸宏も最高にカッコ良いのだが、YMOの散解間近に吹き込まれたこの心温まる作品も素晴らしい。
トータルなアルバムの雰囲気は、このジャケ写同様、ちょいアンニュイで、天気でいえば曇り空。やっぱり冒頭の《リップル》のイメージが、後々に引きずるからかな?
細野晴臣、坂本龍一、ビル・ネルソン、ピエール・バルーなど、豪華参加陣も見逃せない。
レコードは擦り切れるほど聴いたものだ。
ノスタルジアではなく、ホント、今聴いても素晴らしい曲ばかり。
さり気なくブライアン・フェリーのカバーを混ぜるあたりもニクいですね(ジス・アイランド・アース)。
ちなみに、《グッド・タイム》は、歌無しバージョンが、このアルバムに先駆けて、『音版ビックリハウス(ウルトラサイケ・ビックリパーティー)』で使われていましたね。
ユキヒロ氏が、この曲のオケをBGMにして、パーティか何かで女性をナンパしているけど、無視されて、最後は「スイマセン」となる寸劇チックなギャグ、というかコント。
このギャグ(?)を先行して聴いてしまっていたので、歌入りの本テイクを聴いたときは、あらら、こういう曲だったのね、オフザケに使っちゃって良かったのかしら?と思ったものだ。
そういえば、ちょうど、このあたりから、ユキヒロ氏、「♪あっあぁ~」というような、独特な節回しの歌い方が確立されてきていますね。
収録曲
薔薇色の明日 (¥EN)
- 高橋幸宏
1.RIPPLE
2.MY BRIGHT TOMORROW
3.蜉蝣
4.六月の天使
5.前兆(まえぶれ)
6.偶然
7.THIS ISLAND EARTH
8.ARE YOU RECEIVING ME?
9.GOOD TIME
10.THE APRIL FOOLS