「ナマ」がよい。ベースはライン直結!

      2018/09/13

sashimi

魚もベースも生が良い

美味いサカナはナマが良い。

そして、ベースもやっぱり「ナマ」がよい。

ビールの話では全然ない。

私は「ナマ音」派だ。

よっぽどのことが無い限り、エフェクターは使わない。

ベースのソロでライブをやるときか、アンサンブルの中で、ベースソロをエグく目立たせたい時だけ。つまりエフェクターを使う発想そのものが「伴奏」としてではなく、最初から「ソロ」前提なのだ。

生で良い

ベース本来の役どころの「ボトムを支える」のは「ナマ音」で充分。
エフェクターで妙に加工した低音でボトムを支えようとは思わない。

男はパッシブ、指引き、シールドをアンプに直結!!

こう言ったのは、某オールドショップのフロア長だが、そのとおり!!
拍手!!ぱちぱちぱち。

エフェクター、たしかに色々遊べて面白い。
私も、昔はアナログシンセに凝っていたので、つまみを回して音を作る快感はよく分かる。

しかし、こと話がベースになった場合、バンドで音をあわせたときに、きっちりアンサンブルを支え、エフェクターで変化させた音でアンサンブルを邪魔したりせずに、かといって他の楽器のサウンドの中に埋没せず、低音としての存在感はあるけど、音色としての存在感のあり過ぎないサウンドを作るのって、結構難しいものなのだ。

自宅で作った自慢の音色も、広いライブハウスの会場で大音量で鳴らすと、妙にショボかったり、音痩せしていたり、耳に痛い高音の成分だけが強調されてアンサンブルに溶けこまず、バンドとはまた別の場所で独立してベースの音だけが鳴っているように聴こえたりと、なかなかエフェクターでの低音の音づくりは難しいものがある。

難しいってことは面倒くさい。面倒くさいことはイヤだから、だったら使わなければいいじゃん。……ということで、私は使っていない。

じつはエフェクターマニアでもあるんだけれども

もちろん、エフェクターを通して、いろいろな音を出して遊ぶことはある。

いや、私もかなりエフェクターを買ったり売ったりを100回ぐらい繰り返しているので、かなりの数のエフェクターを持っているし、エフェクターで遊ぶとサルのようにハマってしまい、自分でも制御できなくなることもある。

しかし、あくまで、ソロでライブをやるときか、家でパラパラと弾いて遊ぶときぐらい。

面白い音が、即、バンドのアンサンブルで通用する音とは限らない。面白い効果を生み出す可能性はもちろんあるが、つまみを回してあれこれ悩む時間があるのなら、その時間は練習にあてた方が数倍マシだと私は思っている。

その上、エフェクターは自分に酔いやすい。
ヘタでもウマく聴こえやすい。

エフェクターに頼りすぎて、いざ生音で弾いたら、妙にショボイベースだな、と落胆したことのある人も多いのではないか?
まるで、女性が化粧を落として素顔になった時のギャップのように。

化粧(エフェクター)に費やす時間と労力も大切かもしれないが、それ以上に素肌(ナマ音)の手入れも大事ですヨ。

以前、パッシブ&ナマ音派のショップの店員が笑いながら、そして皮肉混じりに話したていたことを思いだす。

「ベースがヘタな人でも、なんとかそれなりに聴かせる方法ってのがあって、要は、アクティブ回路搭載のベースに、コンプレッサーをつないで、アンプのコントロールは全部フラットにすればいいんですよね。もっとも、アクティブ慣れした人がパッシブに移ると、急に腕がバレちゃいますけどね(笑)。」

もっとも、腰が強くて存在感のある音作りのための、どちらかというと「補正」という考え方で使っている人も多いし、そのようなタイプのエフェクターも存在する。というよりも、ボリュームやトーンコントロールのついているアンプそのものが、すでにエフェクターなわけだけど。

しかし、アンプはまぁ別として、エフェクターを使って、良い音作りをするんだったら、最初からイイ楽器を使ったほうが話が早いじゃんか。と私は考えている。

イイ楽器にめぐり会うまでが大変かもしれないし、縁のようなものもあるので、こればっかりは、「さぁ明日からイイ楽器で弾こう!」というわけにはいかないとは思うが……。

それに、アンプ直結でもきちんと通用する楽器は、やっぱり高価なものが多いし。しかし、一生モノの高価な一本を手に入れて、その楽器一本を使い込んで腕に磨きをかけるほうが、長い目で見れば安上がりだと思う。あれこれとエフェクターを買いまくったり、安いベースを何台も買い換えたりしているほうが、結局は高くつくと思うのだが。

マーカス・ミラー

マーカス・ミラーなんかは、スタジオではアンプすら通さないそうだ。
シールドをミキサーの卓に直結!
うーむ、男らしい。潔い。

マーカスっぽいサウンドを得ようとして、エフェクターのセッティングに凝っているマーカス・フリークが馬鹿みたいだ。
いや、馬鹿。
いや、これは失礼。
馬鹿は俺だった。
ベース馬鹿。

パッシブ派

エフェクターを繋ぐこと以前に、私はアクティブが苦手だ。
いや、音は通るんだけどね、アクティブのベースは。ライブハウスでも聴こえやすいんだけど、たしかに。
ヌケの良い音になる。
でも、私は苦手だ。なんだかツルンとした感じがして。
妙にクリアで、ヌメッとしている。
本当に自分が弾いている音なんだろうか?という感じが常につきまとってしまう。自分の指と弾いた時に出てくるサウンドとの一体感があまり感じられないのだ。ギュッと弾いてツルンと出てくる音には、気持の上で微妙にギャップを感じてしまう。

私の師匠は、以前、中古の5弦のフォデラを購入したのだが、アクティブの回路を取っ払ってパッシブにしてしまっていた。ベースの中身はスッキリとシンプルになり、それにともなって、アクティブの操作に必要なつまみ類も全て取っ払って、残った穴は木で埋めていた。

この気持ち、良くわかる。

アクティブの回路って、なんだか複雑怪奇な基板がベースのボディの中にあるんだよね。ゴニョゴニョしていて、私には理解不能な形状だ。指で弾いた音が、その理解不能な機械を通って、シールドを通って、アンプから音が出るんだよね。

なんだか、気持ち悪いと思いませんか?

いや、気持ち悪くはないけど、なんだか指からスピーカーまで、もっとシンプルな経路になんないの?と私は思う。

要は、指からスピーカーまで、音が鳴るまでの過程に、バイアスがかかればかかるほど、気持ちと音の間に差が生まれるようでイヤなんだ、ということなんです。

「ガラス越しのキス」って、なんだかロマンティックなのかもしれないが、厚いガラスや、何枚も重ねられたガラスだったらイヤだよね。
唇から唇までの間のバイアスは、少なければ少ないほどよい。

ところが、アクティブ回路が邪魔してガラスがもう1枚増えて、さらにエフェクターを2台つないでガラスがまたまた2枚増えて……、となると、唇から唇までの距離がどんどん離れていってしまうではないか。こんなにガラスが多いと、相手の体温なんて全然感じられないぞ。

そうそう、体温といえば、コンドームを何枚も重ねてするようなものだ。
ゴムを何枚も重ねて気持ちいいか?
やっぱり、一番気持ちがいいのは、粘膜と粘膜の間に、まったくバイアスのかかていない状態、「ナマ」がいいわけで。
趣向を凝らしたイチゴ味やスースー味のスキン、いや、エフェクターも良いかもしれないが、やっぱりナマでしょ、ナマ。

あ、ベースの場合はね。

とにかく、「私の場合は」、そして、「私の好み」は、パッシブ&ノン・エフェクターだということでした。

アクティブ派や、エフェクターに凝っている人が、もし、これを読んでいるとしたら、「原始人」の戯言だと思って、笑い飛ばしてやってくださいな。

ちゃんちゃん。

記:2001/11/11(from ベース馬鹿見参!)

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