ザ・ニアネス・オブ・ユー/レッド・ガーランド

   

甘口ならではの良さもある

メランコリックな響きと、希望を感じさせる響きが交互に出てくるレッド・ガーランドのブロックコードを昔から愛してやみません。

明るさとブルーな感触の配合比は曲によって異なるのですが、タッチの強弱の付け方が他の演奏よりもデリケートで、メランコリックさが少々勝っている《ホワイ・ワズ・アイ・ボーン》のテーマ部が妙に心の奥に染み込んでくる日もあります。

このようなスローバラードでのガーランドは、響きによる陰影のつけ方が巧みですね。

乾いた都会の生活に一滴の潤い……というと、ちょっとクサいですが、人間関係に疲れた夜などにお酒でも飲みながら(コーヒーでもいい)じっくりと耳を澄ませば、ガーランドのピアノがきっとあなたの心を優しく包んでくれることでしょう。

《ラッシュ・ライフ》なんてふと耳にしたら、辛いことがあった人は泣き出してしまうかもしれません。

『ニアネス・オブ・ユー』は、ガーランドのアルバムの中でも、けっこう「甘口」の部類にはいるため、ふだんは滅多に聴かないアルバムですが、決して暗くならなおシンミリ感が素敵なアルバム。

たまたま、iTunesがシャッフル選択した《ニアネス・オブ・ユー》に耳をわし掴みされて、結局アルバムラストまで聞き入ってしまいました。

記:2015/03/16

album data

THE NEARNESS OF YOU (Jazzland)
- Red Garland

1. Why Was I Born?
2. The Nearness Of You
3. Where Or When
4. Long Ago And Far Away
5. I Got It Bad (And That Ain't Good)
6. Don't Worry About Me
7. Lush Life
8. All Alone

Red Garland (p)
Larry Ridley (b)
Frank Gant (ds)

1961/11/30 NYC

 - ジャズ