徘徊新潟シティ
圧縮堪能新潟市内
新潟市は、横浜や札幌と同じくらい好きな地方都市の一つだ。
学生の頃から何度訪れたことだろう。
少なくとも十回以上は訪れているはずだ。
呑み、食い、遊び、仕事をし、恋もしたし、ジャズもたっぷり聴いた。
久々に訪問した新潟市は相変わらずの空気と空が広がっていた。
約10時間という短い滞在時間ながら、たっぷりと新潟市内(観光名所というわけではなく、私が好きな新潟市内)を堪能した。
観光というわけではなく
私の場合は、国内でも海外でも、観光名所めぐりってあんまり好きではなく(案内されたり、コースに組み込まれていればれば行くけれども)、どちらかというと、街や店をマイペースでブラブラと巡るほうが好きだ。
今回の新潟市も例に漏れずといった感じで、昔からよく足を運ぶ馴染みのところを中心に廻っただけって感じだけれども、それが心地よく楽しかった。
以下、行ったところを列記。
万代シティ
ここにはよく遊びにいったものだ。
紀伊国屋書店の文芸書コーナーの品揃え、というか本の並べ方が好きだったんだよね。
万代シティを象徴するかのようなレインボータワー。
仰ぎ見る場所と角度によっては、なんだかピサの斜塔みたいに傾いて見えるのは気のせい?
連休中にイベントがあるようで、イベントスタッフのような人々が早朝より忙しそうにステージやブース作りに勤しんでいた。
バスターミナルは相変わらず。
そうそう、バスターミナルのエスカレーターといえば、……あ、この話はプライベート過ぎるのでやめておこう。
NGT48劇場
いきなり発見、NGT48劇場。
万代シティにあったんだね、NGT48劇場は。
あれ、セピアっぽい色彩の画像を貼り付けちゃった。
こちらがオリジナルの色彩ね。
古町のNEXT21あたりに出来たのかなと思っていんだんだけど、古町よりは万代シティのほうが新潟以外のエリアからやってきたお客さんにとっては良い立地であることは確か。
研究生含め、まだ人数的には充実しているとはいえないNGTだけれども、HKTのように、気が付けば、いつの間に過大所帯で華のあるグループに成長しているのでしょう。
それにしても、NGTのオリジナルメンバーたちに比べると、AKBから「赴任」している柏木由紀や北原里英は、中学校か小学校の先生に見えて仕方がない。
萬代橋
万代シティから古町に行く際に通る橋が萬代橋。
この空の青さと、緑グレーで濁った信濃川の色が、昔から抱き続けている私の中での新潟市のイメージだ。
いや、空の色は、もう少しこのヴィヴィッドな青に乳白色が溶けた感じかな?
この日の新潟の空は青すぎた。
もう20年以上も昔の真冬に、駅から出ているバスを逃してしまい、古町まで徒歩で向かったことがあるのだけれど、その時に風と雪にまみれて萬代橋を渡ったことがある。
その時の切ない気分ったらなかったな。
季節が違うから当然なんだけど、こんなに静かで穏やかじゃなかったよ。
ところで、萬代橋の橋の脇の手すりの高さってかなり低いんだよね。
たぶん、私の腰の高さより低かったような。
思わず強風が吹いてきたら飛ばされて川にドボンしてしまいそう。
だからこそ気を付けて渡るのだろうけど。
古町
新潟駅北口降りて徒歩すぐの万代シティができる前は、古町が新潟市内最大の繁華街(だったそうだ)。
本屋さんとジャズ喫茶があるという2つの理由で、なんだか落ち着くエリアなんだよね、古町は。
古町のアーケード街を昭和風レトロな画像加工で。
最近、といっても、もうずいぶん前か。
旧市役所跡に「NEXT21」も建ち、街の景観も少々近代的になったような気もするけれども、やっぱり古町は古町、佇まいは昔のままの古町。
小ぢんまりとしてはいるが、ゴミなどが落ちていなくて、非常に清潔、クリーン。
文化と歴史の香りがほのかに漂う風情。
うん、古町は好きだな。
そうそう、思い出した。
「NEXT21」といえば、20年以上前に、「ラフォーレ」がオープンする前後くらいのタイミングに仕事で下見に行ったことがあるんだった。
たしか、そこで行われるファションショーか何かのイベントのためのステージの下見に。
えっ? ラフォーレって、閉店したの?!
わっ、知らなかった。
朝飯がわりに煮干しスープのラーメンでも食べようかと思ったんだけど、時間が時間。
ランチタイムにならないと開店しないんだよね。
カフェでも探すかと思ったんだけど、やっぱり10時過ぎないとオープンしないようだ。
なので、仕方なく「ドトール」へ。
いや、別にドトールは嫌いじゃないですよ。
東京でも行ける店に、わざわざ新潟で、と思っただけ。
古町のドトールは、4Fまで客席があって、しかも4Fはわりと大き目のひじ掛け付きの椅子もあったりするので、快適ラクちんなのだ。
萬松堂・北光社
古町の書店といえば、「萬松堂」。
そして、老舗の「北光社」。
しかし、北光社はだいぶ前に閉店しちゃって残念。
店長は何人か変わっているんだけれども、私がよく通っていた頃の店長のI氏はジャズ好きで、しかもベースも弾けるということもあり、I氏の友人のドラマーと一緒に、古町のスタジオを借りて、セッションをしたこともあったな。
ほどなくしてI氏は結婚することになり、結婚披露宴の招待状も届いたんだけど、仕事のスケジュールの関係で行けなかった。申し訳なかったなと思っている。
I氏が店長になる前の代の店長は、「いかにも」な古き良き書店の店長というイメージの方だった。
むしろ、古書店のほうが似合うんじゃないかと思う佇まい。
このお方は、一見とっつきづらそうな厳格な大学教授然とした雰囲気を湛えていたが、話してみると予想以上に気さくな人で、色々な話をしたものだ。
旅館の息子さんで、旅館を継ぐということで、北光社を退職されたのだが、もっと色々と話したいことがあったのに残念です。
それと、「萬松堂」。
ここでもよく本を買ったなぁ。
帰りの新幹線で読むための。
しかし、買ったその日の夜には駅前のホテルで読んでしまって、結局、東京に帰る際は、駅中の「セゾン・ド・文信堂」で新たに帰りの新幹線用の本を買っていたものだ。
(ちなみに、「セゾン・ド・ニイガタ」は、現在「CoCoLo新潟」になっている)
話戻って「萬松堂」。
売れ筋、新刊が分かりやすいところにビシッと並んでいるわかりやすい品ぞろえ。
そして、分かる人にはわかる「ピン!」と漂う本の並びから漂うただならぬ緊張感。
これ、国立の「増田書店」もそうなんだけれども、こういう店には、目利きな店長や仕入れの方がいるものです。
本当に本が好きで、本を「選び・並べ・売る」ことの厳しいプロ哲学を有した人。
(増田書店の場合は、吉村店長が発する空気がジャズ喫茶の頑固オヤジっぽくて好きだった)
こういう方が存在する書店の空気って、すぐに分かります。
なにしろ棚が違う。
平台に積まれた書籍や雑誌が発する「気合い」が違う。
もっとも、チェーン店化した書店が増えている昨今、このような「プロ」が存在する書店は少なくなってきてしまったけれども。
そういえば、バイヤー(仕入れ)のK氏とも、よく売れ筋話をしたものだ。
萬松堂と北光社は、本当に目と鼻の先のご近所さん同士。
萬松堂は、古町商店街のアーケード(ふるまちモール)内で、北光社は古町のメインストリートとなる柾谷小路沿いに店を構えていた。
ご近所の本屋さん同士、もちろん競合はしてはいたんだろうけど、品揃えや客層はずいぶん違っていたように記憶している。
ジャズ喫茶「スワン」
大好きなジャズ喫茶「スワン」。
新潟を訪問した際は、必ずといってよいほど立ち寄ったものだ。
ああ、情趣溢れる店頭だなぁ。
お花が綺麗、電信柱がセクシー。
写真には写ってないけど、可愛いネコちゃんもいるのだよ。
店内は、かつて通っていた頃とはレイアウトが少し変わっていて、グランドピアノが置かれていた。
私が通っていた頃は、レコード(CD)での音楽鑑賞オンリーの店だったんだけど、仕事が忙しくなり、あまり新潟に行けなくなった頃あたりから、夜はジャズのライヴを催すようになったんだよね。
そして、例のJASRAC事件。
詳細⇒新潟レコード喫茶スワン事件
その時期の私は、目茶苦茶仕事に追われていて、新潟には行く余裕がなかったけれども、この騒動と一連の流れは東京から折に触れてチェックはしていた。
もちろん、「JASRAC音楽使用料規程の改正を求める署名」の用紙には署名させていただいたですよ。
苫小牧行きの船
友人の車で案内された港。
埠頭(港)名は?
知らん、忘れた(笑)。
だそうな。
とにもかくにも、前方に立ちはだかる巨大な塗り壁のような船は苫小牧行きの船とのこと。
「らべんだあ」号と書いてありますね。
ちなみに佐渡島行きの船は、こことは別の埠頭から出発するそうだ。
佐渡島といえば、その日は晴れていたので、青々とノッペリとした佐渡島の大地の輪郭が海の向こうに見えた。
なんだ、滅茶苦茶近いじゃん。
島じゃん、全然大陸っぽくは見えない。
しいて言えば半島っぽく見えないこともないけど。
太宰治め(笑)。
太宰治の短篇に『佐渡』って作品があるのね。
これを読むと、佐渡島って得体のしれぬ巨大な大陸のように思えてしまうんだけど、ちょっと引用してみるね。
ひょいと前方の薄暗い海面をすかし眺めて、私は愕然がくぜんとした。実に、意外な発見をしたのだ。誇張では無く、恐怖の感をさえ覚えた。ぞっとしたのである。汽船の真直ぐに進み行く方向、はるか前方に、幽かすかに蒼あおく、大陸の影が見える。私は、いやなものを見たような気がした。見ない振りをした。けれども大陸の影は、たしかに水平線上に薄蒼く見えるのだ。満洲ではないかと思った。まさか、と直ぐに打ち消した。私の混乱は、クライマックスに達した。日本の内地ではないかと思った。それでは方角があべこべだ。朝鮮。まさか、とあわてて打ち消した。滅茶滅茶になった。能登半島。それかも知れぬと思った時に、背後の船室は、ざわめきはじめた。
「さあ、もう見えて来ました。」という言葉が、私の耳にはいった。
私は、うんざりした。あの大陸が佐渡なのだ。大きすぎる。北海道とそんなに違わんじゃないかと思った。台湾とは、どうかしら等と真面目に考えた。あの大陸の影が佐渡だとすると、私の今迄の苦心の観察は全然まちがいだったというわけになる。高等学校の生徒は、私に嘘を教えたのだ。すると、この眼前の黒いつまらぬ島は、一体なんだろう。つまらぬ島だ。
おいおい、大袈裟な。
しかし、それが小説家というものなのだろう。
ちょっとした出来事も、これぐらい書けねばならないのだろう。
針小棒大。
そして、そこはかとなく漂う心地よいフェイクっぽさ。
そのような文筆家といえば、昔は太宰で、今は菊地成孔といったところか(笑)。
タレかつ丼
新潟発祥の新潟名物たれかつ丼。
御覧のとおり、玉子がない。
揚げたての薄めのとんかつを「甘辛醤油ダレ」にくぐらせて、ご飯にのせただけのシンプルなかつ丼なのだ。
旨い。
しかし、薄味好みの私からすると、いささか塩辛い感じもした。
それはタレがショッパイというよりは、カツの下のご飯の量が少ないのだ。
だから、2人以上で訪問した際は、1人はトンカツセットを注文し、トンカツセットというのは、だいたいご飯とキャベツのお替りは自由だから、ご飯を2回ほどおかわりして、タレカツ丼用のご飯にすると味のバランス的には丁度良いと思う。
カツが薄切りなので、トンカツは厚切り豚肉っしょという御仁には不向きかもしれないが、私は気に入った。
ハッピーターン試作品
友人よりもらったハッピーターンの試作品、なのだそうだ。
新潟といえば米所。
米がいっぱいとれるからお煎餅。
お煎餅といえば、亀田製菓!
(個人的には「名作」の新野製菓が好きだったんだけど、倒産しちゃったんだよね)
亀田製菓といえば柿の種とハッピーターン!
というわけで、ハッピーターンの試作品!
あんまり米っぽくなく、粉っぽい感じではあるんだけど、うまいっす。
ビールにもお茶にもコーヒーにも合うね。
緑川とジュンク堂書店
そういえば、ノンビリと落ち着いたたたずまいの新潟大学にも訪問したかったけれども、今回はタイムリミット。
一泊すれば、翌日に古町で行われるクラシックのイベント「ラ・フォル・ジュルネ」にも行けるのだが、帰りが混みそうなので、イベント前日の空いた新幹線の自由席で帰ることにした。
駅近くの魚料理のおいしいオシャレな居酒屋で(アルバイトの女性が皆、肌が白く綺麗なのです)、緑川(日本酒)を飲んだり、刺身やタコ料理などを突き、新幹線の最終の時刻になるまで、駅南のジュンク堂書店の専門書コーナーで立ち読みをして、東京に還った。
また来るぞ、新潟。
記:2017/05/09