オーケストラ楽器別人間学
2019/08/30
わはは、結構あたってる
昨日は、東野圭吾の小説を映画化した『変身』の試写会を観てきました。
原作は読んでいないのですが、玉木宏と蒼井優の熱演の賜物で、なかなか“観れる”作品には仕上がっていました。
キャラが微妙に読みにくい女医や、主治医の描写がイマイチ、といったように、ところどころ、ツメの甘い箇所はありましたが、ま、重箱の隅には目をつぶりましょう。
ところで、先日、『オーケストラ楽器別人間学』(茂木大輔・著)という本を読んだのですが、これがまた滅茶苦茶面白い。
文章がどんどんエスカレートしてゆく様は、山下洋輔のエッセイを彷彿とさせられますが、お二人は、お知り合いなようで。
オーケストラで使用される楽器奏者の性格を面白おかしく分類した本なんですが、ただ単に性格や傾向だけを分類・羅列しただけではありません。
楽器別デートの誘い方(誘われ方)や、
楽器奏者が文化祭で模擬店を出したら、どういう出し物をするかとか、
楽器奏者を元素にたとえたり、
有名人に似合う楽器を妄想したりなど、
様々なアプローチで楽器奏者の性格を分析しているところが面白い。
たとえば、私はウッドベースを弾いていますから、“コントラバス男が女性をデートに誘うと……”を読むわけですが、こんな記述が。
知り合ってから忘れたころに、ごく自然に電話があり、「そろそろ冬だねぇ、おでんでも食べにいかない? おいしいとこ、知っているんだ」と平日のデートに誘う。せっかくOKだったのに、当日、本人はそのことをすっかり忘れて、家で寝ていましたとさ。
だって(笑)。
前半は、まったくそのとおりで、身に覚えがありまくりなので(笑)、おお、すげぇ!と感心したのですが、さすがに、私は女性を誘っておきながら家で寝ていないって(笑)!
でも、ははぁ、なるほどぉ、言われてみれば確かに!と思うことの多い記述が多く、これは爆笑本として、古本屋には売らずにとっておこうと思いました(私は一度読んだ本は、どんどん古本屋に売ってしまうのです)。
サックス奏者の女性の誘い方も面白い。
ライトなノリで女性に声をかけるけど、足が震えている。横文字系のレストランでカッコつけてウェイターに「きみぃ、このワインをもってきてくれたまえ」とメニューを指差すと、「お客様、それはミネラルウォーターでございます」。
わははは、そういうサックス吹き、いたなぁ(笑)。
と、すべて当たっているとは限らないけれども、それぞれの楽器の特性から生じる楽器奏者の気質や行動パターンを大袈裟だけれども、非常にうまく掴んでいる本だと思いました。
ちなみに、うちの息子はピアノだけれども、この本にはピアノの分類はなかった。
女房は昔、ブラバンでクラリネットだったので、クラリネット女性がデートに誘われると……。
誘われると、すぐ、行く。そのわりにはときどき退屈そうにしていて、理由は不明。
大爆笑。
わはは、まったくそのとおり。
つまらなくはないんだけれども、女房は、いつも気だるく退屈そうな顔をしています。
続きを読んでいくと、
酒は結構飲み、酔う。必ずしも陽気な酒ではない。勘定は、奢ってもらう。
うーむ、うちの女房のこと書いているんじゃないか?と思うぐらいです。
面白い本なので、楽器をやっている人(ただしオーケストラで使われる楽器だけれども)は、是非ご一読を!
記:2005/09/21