カフェ・モンマルトル

高野雲の雑記帳。音楽・映画・読書・模型。

アワ・シング/ジョー・ヘンダーソン

      2021/12/12

アンドリュー・ヒル効果

優れた内容にもかかわらず、なんとなくスルーされていまっているような気がする。このジョーヘン(ジョー・ヘンダーソン)の『アワ・シング』というアルバムは。

ブルーノートのジョーヘンといえば、『モード・フォー・ジョー』や『インナー・アージ』、そしてこのアルバムの1枚前の初リーダー作『ページ・ワン』が特に有名で、彼の代表作に挙げられることも多い。

その『ページ・ワン』に参加しているケニー・ドーハムにピート・ラロッカもこのアルバムには参加しているので、ある意味『ページ・ワン』の続編と呼んでも良い内容なのかもしれないが、ただ、ピアニストがマッコイ・タイナーからアンドリュー・ヒルに変わっただけでも、アルバムに漂うムードはかなり変わっている。

スカッ!と風通し良く、湿度があまり感じられないのが前作『ページ・ワン』だとすると、もうすこし空気の粘りが感じられるのが本作『アワ・シング』だ。

これは、1にも2にも、ピアニスト、アンドリュー・ヒルが参加した効果によるものだろう。

しかし、ヒルが弾きだすピアノのイントロやアドリブは別としても、ケニー・ドーハムのトランペットや、ジョーヘンがテナーサックスでアドリブを展開している際のバッキングは、隙間を生かした趣味の良いバッキングで、必要以上にピアノの存在感を主張していない。

改めてアンドリュー・ヒルの音楽性の高さが感じられる作品でもある。

頑張るドーハム

さらに、特筆すべき活躍をしているのが、ケニー・ドーハムだ。

ジョー・ヘンダーソンの先輩格にあたり、『ページ・ワン』の録音の際も《ブルー・ボサ》などの曲を提供するなど、多いに後輩のデビューに尽力したドーハム。

さらに2枚目にあたるこのアルバムでも、5曲中3曲も曲を提供したり、ライナーノーツを書いたりと、そうとう後輩の作品に力添えをしている。

お膳立てのみならず、演奏面も素晴らしい。

それこそ「哀愁のラッパ」としかいいようのない寂寥感漂う素晴らしいプレイを繰り広げており、なんだか自分のリーダー作よりも張り切っているのではないかと思ってしまうほどだ。

一聴しただけでは、なかなかテーマのメロディや、アドリブの流れなどを把握しづらい内容かもしれないが、一度このアルバムの魅力に開眼したら最後、底なし沼にはまったように、ズブズブとこのアルバムにしかない独特な音世界にハマっていってしまうことは確実だ。

他のブルーノートのカッコいいジャケットと比較すれば、いかんせん地味というか、手を出しずらい写真とデザインに感じる人もいるかもしれないが、ジャケットのちょっとドンくさいイメージを覆す素晴らしい演奏ばかりが『アワ・シング』には収められている。

記:2013/10/28

album data

OUR THING (Blue Note)
- Joe Henderson

1.Teeter Totter
2.Pedro's Time
3.Our Thing
4.Back Road
5.Escapade

Joe Henderson (ts)
Kenny Dorham (tp)
Andrew Hill (p)
Eddie Khan (b)
Pete La Roca (ds)

1963/09/09

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Blue Note
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