ライブレポート 2005/07/30 パピヨンズ・大塚ライブ
2016/04/03
先日、大塚のライブハウス「ウェルカムバック!」で、「パピヨンズ」のライブを行った。
前回、六本木で行ったときと同様、今回もウッドべースで出た。
なぜ、一見、ウッドベースが不似合いな曲がレパートリーに多いパピヨンズで、私はウッドベースを弾くのか?
それは、弾きたいから。
というシンプルな理由につきるわけだけれども、重たく、かさばり、運搬も面倒くさく、弾くのもエレキよりは体力が必要なこのベースをなぜ私は好き好んで弾きたいと思うのかを自分なりに考えてみる。
まず、自分のベースの音色の好みを考えてみる。
ギラギラした音色と、まったりした音色、
どちらが好きかといえば、
まったりした音が好きだ。
張り替えたての新品の弦の音色と、
何年も張りっぱなしの死んだ弦の音色だったら、
死んだ弦の音色のコモッた音色が好きだ。
尖がった音色と甘い音色、
どちらが好きかといえば、
甘い音色のほうが好きだ。
細い音色と太い音色、
どちらが好きかというと、
やっぱり、太い音色。
□い音よりは、
○い音。
そんな好みの私だが、
では、弾いているときの手ごたえはというと、
ユルユルのテンションよりは、
キツキツのテンションが好き。
キツキツのテンションの弦をひっぱたくように、指先と手首に力をこめて弾くのが好きだ。
弾いている!という実感があるから。
当然、エレキベースよりは、ウッドベースのほうが、
弦も太く、長いぶん、テンションはキツい。
しかも、思いっきり力をこめて弾いても、
アンプのセッティング次第では、
かなり、甘くて柔らかい音色を出すことが可能だ。
だから、私はウッドベースをライブで弾くのが好きなのよ。
力を抜けないし、気も抜けないから。
この緊張感がたまらないのよ。
エレキだと、気分的にも肉体的にも、余裕が生まれてしまうので、ヘンに遊んでしまうことが多い。
フレーズもアクションも、ね。
その遊びが良い結果に結びつけばよいのだが、悪い結果に結びつくと結果は悲惨だ。
ウッドだと、とにかく、正しく弾くことで精一杯だから、遊ぶ余裕ってあまりない。
だから、いい。
決められたフレーズ、ラインを一生懸命弾く。
渾身の力を込めて弾く。
だから、充実感が漲る。
しかも、出てくる音は、太くて甘い音。
いいねぇ。
ウッドベースは重たくて、デカくて運搬には苦労するけれども、苦労するだけの甲斐はあるってもんです。
で、今回のライブですが、
なんと、モニタの返しがあまりよくなくて、
自分のベースの音があまり聞こえなかった。
これって致命傷。
なぜかというと、
音程がうまく取れないのです。
正しいのかズレているのかが分からない。
なにせ、聴こえないので。
もちろん、キチンとした音程を取れるように
日々、少しずつトレーニングはしているし、
指の形づくりはある程度は出来ているのですが、
やっぱり、いくら正しい形をキープしていても、
微妙な角度とか力の入れ具合とかで、音程ってかなり変わってしまうもので、
やはり、モニタからの返しの音が頼りだったりするのです。
このときほど、フレットが恋しいと思ったことはなかったね。
フレット付きのウッドベースなんて、ドナルド・バードの『ブラック・バード』(Blue Note)のジャケ写でしか見たことないけれども、ま、フレット付きのウッドベースが欲しかったのではなく、フレットの存在が恋しくなったということだね。
だって、フレットがあれば、おさえる場所さえ正しければ、自分の音があまり聴こえなくても、音程のことを気にする必要ないじゃないですか?
私は長年、エレキベースはフレットレスばかり弾いていたのだが、ライブで音程を取れないで困ったことってなかった。
もちろん、エレキとウッドだと音の太さとかコモり具合は違うのだろうけれども、今回のライブハウスのPAの自分の音の聴こえなさっぷりにはマイった。
史上最悪と言っても良いぐらいだ。
リハーサルのときは聴こえたし、リハーサル終了間際には、
もう少しベースの返しを上げておいてくださいとお願いしておいたんだけれどもね。
家に帰って、レコーダに録音していた音源を聴いてみると、客席のほうにもあまりベースの音が聞こえていなかった。
そのぶん、ヴォーカルはよく聞こえていたけれどもね。
そういう音作りをするPAなのかもしれない。
音作りのポリシーに異論はないが、
返しの音をしっかりくれぃ。
それにしても、ライブの音源を聴き返すと、今までのパピヨンズのライブの中では、もっとも殺気だった音の連続だった。
いや、私たちメンバーは殺気だってませんよ。
ニコニコっす。
でも、音のエッジがスゲぇ鋭いんすよ。リズムが。
なにかに追い立てられている感じ。
後がないって感じ。
攻撃的で、練習の時よりも若干速めのテンポ。
テンポとあいまって、スネアとハット、ベースのスピード感がものすごい。
ところどころで、リズムがスベるが、
スベって転んでもタダでは起き上がらないぞって感じ。
この感じは、
肉体の物理的制約から生まれた効果なのかもしれない。
ドラマーはオビをギュッと締めた着物姿でドラムを叩き、私は、浴衣でウッドベース、しかもテンポがいつもより速めだったから。
リズム隊は肉体的に、いつもの練習のときよりもハンディを背負っていたのかもしれない。
つまり、体力的にいっぱいいっぱいの状態で搾り出すリズムが、なんか窮鼠猫を噛む的な、妙な切迫感を醸し出していたのかもしれないね。
あとは、単純に、みんなが緊張していたから、というのもあるかもしれない。
それにしても、なんか、この風雲急を告げる感じ、聴いているとかなり疲れるけれども、なかなか悪くはないですね。
いままでのユルい要素が排されているパピヨンズも興味深いと思いました。
さてと、次は、エレキベースで出ようっと。
記:2002/08/02(from「ベース馬鹿見参!」)