ポール・ウイナーズ/バーニー・ケッセル、レイ・ブラウン、シェリー・マン

      2021/02/23

「名手」とは?

「名手」とは、楽器操作だけに長けている者にあらず。

常に聴き手を楽しませる術を心得たプレイヤーのことをさす。
この当たり前なことを“ポール・ウイナー・シリーズ”を聴くたびに再確認する思いだ。

「名手」たちの安定した演奏

“ポール・ウイナー”とは、『ダウン・ビート』、『メトロノーム』、『プレイボーイ』の3誌における人気投票の王座獲得者のこと。

録音された当時は、彼ら3人は、各楽器ごとにおいて人気プレイヤーであると同時に、安定した実力を誇ったジャズマンたちだったことはいうまでもない。

しかし、“人気者3人のお気楽セッション”ではないことは、どの曲を聴いても “一聴”両全だ。

ピタリと息の合った演奏はもとより、なによりも曲のツボを押さえ、聴き手を楽しませる心憎いアンサンブルは、やはり「名手」ならではの手腕だ。

スインギーでよく歌うバーニー・ケッセルのギターに、安定した鼓動を提供するレイ・ブラウンのベース。
シェリー・マンの「素早くダイナミック」なシンバルは、いつ聴いても刺激的。

ウエストコーストの職人たちが仕上げた極上の一枚だ。

唯一の欠点は、演奏がまとまり過ぎていてスリルさに欠けているところかもしれないが、それは聴き手の好み次第だろう。

なお、このポール・ウイナーは、好評ゆえ、シリーズとして「第4集」までが作られている。

どれもが安定した演奏内容だが、最初に聴くべきは、やはりもっとも人気かつ名盤の誉れの高い、この「第1集」だろう。もっとも「1」という表記はないけれれど。

記:2010/09/06

album data

THE POLL WINNERS (Contemporary)
- Burney Kessel

1.Jordu
2.Satin Doll
3.It Could Happen To You
4.Mean To Me
5.Don't Worry About Me
6.On Green Dolphin Street
7.You Go To My Head
8.Minor Mood
9.Nagasaki

Burney Kessel (g)
Ray Brown (b)
Shelly Manne (ds)

1957/03/18&19

 - ジャズ