狂った世の中斜に見て、自室で一人コントラバス

   

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買ったばかりの安物のアルコ(弓)に、松ヤニをベッタリと塗り、コントラバスを弾く。

そう、コントラバス。

指で弦をはじく時は、ウッドベースな気分だが、弓で弦をこする時の気分は、どう考えてもウッドベースではなく、コントラバスなのだ。

調子っぱずれの音程と、まるでノコギリを曳くような苦い音色。

弓を購入して、一週間足らず。

私の弾くアルコは、聴くに堪えないほどへタッピだ。

いつかはバッハの無伴奏チェロ組曲にトライしてみたいが、まだまだそれは夢の夢。

しかし、一生かけて、少しずつゆっくりと上達してゆけば、それでよいと思っている。

世界は暗い。

ブリジット・フォンテーヌではないが、世界は寒い。寒すぎる。

連日報道される暗いニュース。

狂った世の中、斜(はす)に見て 自室で一人 コントラバス。

世の中の空気から遮断された自室で、

私は、黙々と下手クソなコントラバスを奏で続けている。

良質なジャズと酒。

苦めのインスタント・コーヒー。

傍らには、最愛の女房と子供が、読書をしたり、テレビを見たりしている。

それで、良いではないか。

それ以上、何を望もうや。

相も変わらず、ヘタクソなコントラバスを弾き続ける私。

暗くて寒くて、狂った世界を斜っかいに見ながら、自宅で低音、コントラバス。

記:2001/11/09(from ベース馬鹿見参!)

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