アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.5/バド・パウエル

   

歌うパウエル

長尺ブルース1曲、バップナンバー1曲、スタンダード数曲。
時にはパウエルのオリジナルも。

全部で5枚出ている『ゴールデン・サークル』のバド・パウエルのライブは、上記のような構成の選曲が続いている。

しかし、5枚のアルバムの中で唯一、上記法則から逸脱したスペシャルなナンバー(?)が収録されているのが『vol.5』だ。

《ジス・イズ・ノー・ラフィング・マター》。

なんとパウエルの弾き語りが収録されているのだ。
つまり、ヴォーカル⇒パウエル、なのだ。

パウエルのしみじみヴォーカル

パウエルの弾き語りといえば、渡欧中のパウエルの最大の理解者だったフランシス・パウドラが自宅でプライベート録音した『リラクシン・アット・ホーム 61-64』が有名で、ここでは、セロニアス・モンク作曲の《クリスマス・ソング》を歌っている。

いずれもパウエルの歌唱を一言で言ってしまえば「しみじみ」。
お世辞にも上手なヴォーカルとはいえない。
歌唱といよりは、むしろ唸り声に音程がついているといったほうが正しいかもしれない。

しかし、自分で歌いながら伴奏をつけるピアノの効果もあり、しみじみ効果は抜群。
じっくりと「聴ける」内容となっていることもたしか。

普段はバドの唸り声ばかり聴いているけど、ヴォーカルはいったいどんな感じ? と興味を持たれた方にはオススメのアルバムだ。

個人的には『リラクシン・アット・ホーム』の歌唱のほうがグッとくるのだが、こちらのCDは、現在かなり高価なので、ちょっとした興味を満たす程度には高額だと思う。

現在の価格はこちら⇒Relaxin' At Home 61-64

気軽にパウエルの歌声を味わいたい向きには『ゴールデン・サークルvol.5』のほうをおすすめしたい。

記:2013/06/19

album data

AT THE GOLDEN CIRCLE vol.5(Steeple Chase)
- Bud Powell

1.Hot House
2.This Is No Laughing Matter
3.52nd Street Theme
4.Straight, No Chaser
5.Thanks By Bud Powell

Bud Powell (p)
Torbjorn Hultcrntz (b)
Sune Spangberg (ds)

1962/04/23,Stockholm

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