愛のペガサス/プリンス
2021/02/10
聴く順序が逆だったプリンス体験
『アラウンド・ザ・ワールド』、『パレード』あたりから、プリンスのファンになった私。
彼の昔の作品に遡って、まずはこのアルバムを紐解いてみたのが、かれこれ大学に入ってから。
チャカ・カーンがカバーした《フィール・フォー・ユー》も収録されている『愛のペガサス』だ。
なぜか、このCDは、ニュージーランド旅行に行った際、オークランドのレコード屋さんで買ったんだよね。
最初に聞いたときは驚いた。
全曲ファルセット(裏声)で歌っているのね。
もちろん、ヒットした《kiss》なんかも、裏声がメインな歌唱だけど、例のネズミのチューチュー声のような、あの独特な声も後半で聴けたからね。
へぇ、初期のプリンスは全部ファルセットをメインで歌っていたのね。
と、遅れてやってきたファン(?)の単純な驚き。
キャッチーでおいしい甘さ
オール・裏声で歌われるアルバム全体の世界に、最初は面食らった、というか、正直、「うー気色ワルぅ~」と思ったもののだが、それは一瞬の話。類稀なる彼のポップセンスにすぐに虜となった。
とくに、1曲目の《ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー》で執拗に繰り返されるラストのインストパート。
この必要以上に長いんじゃないの?と思わせる箇所が、じつは一番気持ちよいところでもあるんだ。
今聴くと、懐かしいアナログシンセのキッチュな音も逆に新鮮。
曲作りの良さと、ポップセンスが遺憾なく発揮されているのが、プリンスのセカンド・アルバムなのだ。
ジャケットは、まあ、あんな感じなんで(笑)、ジャケ写のイメージからだけだと聴く気がおきない人もたくさんいるんじゃないかとは思われるが、内容は、もうポップもポップ。
しかも、甘口ポップ。
甘いけど、その甘さの成分が「おいしい甘さ」なのです。
だから、本当、聞いていると楽しい気分、うきうきした気分になれるんですね。
いやぁ、いいアルバムですよ、プリンスのセカンドアルバム『プリンス』、邦題『愛のペガサス』は。
記:2002/01/11
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