シークレット・ウイッシュ/プロパガンダ
2023/03/06
かつて私が夢中になってウォークマン(懐)で聴いていたドイツのテクノポップバンド、プロパガンダ。
まだ活動しているのかな?
1回だけ来日したことがあるんだけれども、メンバーのうちの1人が銀行員で、もう1人がモデルだったので、本業のほうをおろそかに出来ないということで、結局、違うサポートメンバーが来日したという、いわくつきのバンド。
そこらへんの、職務をまっとうする律儀な姿勢って、非常にドイツ的な感じがしますよね。
ドイツ的といえば、サウンドも非常にドイツ的、というか重たい。
重たいビートに、オーケストラを思わせるような重厚なシンセによるストリングスやブラスパート。
打ち込みのドラムの音も、まるで空間にドスン!とクサビを打つように重たい。
このどこまでも重厚なサウンドが、他のエレクトロ・ポップとは一線を画す、プロパガンダならではのサウンドとなっている。
もちろん、重たいエレクトロ・ポップといえば、中期以降のデペッシュ・モードも挙げられるが、彼らの洗練されたサウンドと比較すると、プロパガンダの重たさはもっと素朴、かつ洗練されきっていない野暮ったさも否めない。
つまり、棒を切ったように直截的なので、聴きようによっては、それが“クドさ”につながることも。
しかし、この小回りの効かない重厚感こそが、彼らの魅力でもあるのだが。
1曲目の《ドリーム》。
重たいリズムに柔らかなフリューゲル・ホーンを思わせるリードシンセの簡素なメロディのリフレイン。これが心地よく、ものの数分で催眠状態にかかってしまうほど夢心地な曲。
2曲目の《マーダー・オブ・ラヴ》。
これもまた重厚なビートにのっかる歯切れのよいボーカルが、露骨に戦闘的でカッコイイ。中盤以降に出現する、メタリックなシンセのアルペジオは、いつ聴いても鳥肌が立つ。
3曲目の《ジュエル》もまた、これでもかな、メタリックなビートの攻撃。
といったように、もうどこまでも、メタリックでヘヴィなリズムがズッカーン!ズッカーン!と襲いかかってくるので、こちらの脳はクラクラと心地よく揺さぶられてしまう。
うーん、重たく美しい。
デヴィッド・シルヴィアンが作詞で参加している名曲《P・マシーナリー》も収録されているのも嬉しい。
これも重たくメロディアス。
ジャーマン・テクノの金字塔!
名盤です。
記:2009/10/23
追記
我が青春の一曲とでもいうべきか。
プロパガンダの《ドリーム・ウィズィン・ア・ドリーム》と《マーダーズ・オブ・ラヴ》。
Propaganda - Dream within a dream (live)
Propaganda: Murder of love - "Outside World Tour' 1985
重い。
ひたすら重い。
特に《マーダー・オブ・ラヴ》がね。
うーん、ドイツ(謎)。
ドラムの垂直叩きがチャーミング(笑)。
私がたしか高校二年生の時かな。
お年玉でようやくCDプレイヤーなるものを買いまして。
当時は高かったんだよね、CDプレイヤー。
通常15万円、10万円がザラだったんだけど、ようやく10万円を切るプレイヤーがようやく表れたので、飛びついたわけです。
しかし、プレイヤーだけ買ったところで、聴く音源がなければ意味がない。
だから、2枚だけ一緒に買ったんです。
その1枚がプロパガンダの『ア・シークレット・ウィッシュ』。
そしてもう1枚がジャパンの『錻力の太鼓』。
プロパガンダの楽曲は、特に《マーダー・オブ・ラヴ》に顕著なんだけど、シロフォン(ヴィブラフォンかな?)が大活躍。
これなくしては、この曲の魅力は半減していたことだろう。
それと同様に、買ってしばらくしてから気が付いたんだけど、もう1枚のジャパンの『錻力の太鼓』も、曲によっては木琴が大活躍。
木琴、いいよね。
と同時に、プロパガンダもジャパンもベースはウォルだしね。
この共通点は、たまたま偶然なんだけど。
でも、私の無意識の好みが引き寄せた必然だったのかもしれない。