3日で模型が完成! 週末楽楽プラモ生活/秋友克也
手数の多さに充実感を感じる私だったが
もし、私が女性に生まれていたら、男からはドン引きされる人になっていただろう。
いや、男性である今現在でも十分にドン引きされる面倒くさい奴には違いないんだけど、その理由は「クドさ」にあると思っている。
女性って、真面目な人ほど、愛情が深い人ほど、好きな男性のために料理やお弁当に「ひと手間、ふた手間」かけてしまう傾向がある。
そして、だいたいの男って、その女性の好意による「ひと手間、ふた手間」を重苦しく感じることが多い。
で、もし私が女性だったら、「ひと手間、ふた手間」どころか「10手間、20手間」をかけてしまうだろう。
クドいほどに手間ひまをかけまくり、男から「お前、重たいんだよ!」と蹴飛ばされる。
ああ、私ったら「尽くす女」なのに……(涙)。
……って、何言ってんだか。
ようするに、私のクドい性格は、プラモを作るときも、いや、プラモを塗る際は、たくさん手間をかければかけるほど「俺って頑張ってるぅ!」な気分が心のどこかにあるんだよね。
1~2回塗って次の段階に移行せずに、5回も6回も重ね塗りをしたほうが重厚な感じになるし、手間ひまをかけた感じに仕上がる「気」になる。
そんな手間ひまかけて模型を塗装する私ってエラいでしょう?こんなに大好きなプラモちゃんのために尽くしてるのよ、なんて思いたい心理が心のどこかにあるんだろうね。
だから、そんな私の気持ちをウザく感じたガンプラが、薄めたラッカー系塗料を5回も6回も「厚塗り」しているしている最中に、足の関節が溶けて、ボトッとひざから下が床に落ちたりする。
ああ、「厚塗り」が好きな私は、女性に生まれたら、きっと厚化粧しまくって、男から引かれるのだろうな。
目からウロコの2冊
そんな、手間をかけたがり、厚塗りをしたがる私の目からウロコを1枚落としてくれたのが『水溶きアクリル筆塗りテクニック』だった。
そして、さらに目からウロコを2枚以上剥いでくれたのが『3日で模型が完成! 週末楽楽プラモ生活』だ。
『水溶きアクリル』本では、そのサクッとあっさり、少ない手数の塗装で、ここまでの質感出せるんだ!と思わせる作例がわんさか。
なんだ、この方法で塗れば、ふだんの5分の1以下の時間で完成させられるやんと思ったものです。
そして、先日発売された、『週末楽楽プラモ生活』では、フィギュアのスミイレに目からウロコでしたね。
私、フィギュアやなんですよ、塗るのが。
苦手だし、細い筆で、目とか細かな皺のシャドウとかハイライトを塗り分けるのがとても面倒くさい。
やること色々あるから作ったり塗ったりする気がおきない。
だから、スケールモデルの場合は、最初からフィギュアは作らない、塗らないという「技」を駆使しているのですが(!?)、この本の作例にあるタミヤの零戦のパイロットのフィギュアを見たら、スミイレだけでも、それなりの仕上がりになっているのだ。
なんだ、べつに無理して細かく塗りわける必要ないじゃんと気分がものすごく軽くなりましたね。
さらに、本日ツイッターで著者の秋友克也氏が
「ミリタリーフィギュアに陰影を描き込んだり瞳を入れたりする塗装は、選択肢の一つであって義務ではない。ベタ塗りで塗り分けてスミ入れだけする方がリアルな場合もある。」
とツイートされており、たしかにそうだよなぁと思わずリツイートしてしまいました。
またさらに、
「むしろ、実物をよく観察しないまま目や陰影を描き込もうとしてリアルから離れてしまった例をよく見るので、情報を無闇に増やすより丁寧に絞り込んだ方がいいという話ですね。現実の人間の写真を模型サイズに縮小して印刷すれば加減がわかります。」
という写真付きのツイートも。
そうなんだよ、大事なのは匙加減。
「情報を無闇に増やすより丁寧に絞り込んだ方がいい」
そう、足し算しか頭にない私に、引き算の概念を教えてくれた一文だった。
なんでもかんでも手間をかけてやり過ぎれば良いというわけではないということ。
女の私(?!)にも教えてあげたいわ。
コルトレーンのように隙間を埋めることばかりを考えずに、マイルスのように音を抜くことの大切さをこの本と筆者からのツイートで学んだ気分になりました。
ミリタリーもの以外の作例も豊富
さて、この本の紹介なんですが、紹介されている作例のランダムさ、いや広範囲なジャンルのセレクションも参考になりますね。
特に、童友社の「姫路城」なんて、なんだか久々に作ってみたくなりましたですよ。
お城のプラモなんて小学生のとき以来作ったことないけんね。
今度チャレンジしてみようかなと思ったものだ。
それと、廃車になった汚れたフェアレディZ。
タイヤのパンクっぷりや、埃(泥?)がつきまくった窓ガラスの表現なんか簡単に出来そうなので、久々に車のプラモでも作っちゃうぅ~?な気分になってしまいます。
一つのキットに思いをぶちこんで時間と塗料を注ぎ込むことに価値を見出していた重苦しい私を解き放ってくれそうな好著といえましょう。
記:2019/06/16