忘れちゃならない初期レッチリも
2021/05/28
text:高良俊礼(Sounds Pal)
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
レッド・ホット・チリ・ペッパーズといえば、今でこそ世界的な人気を誇る大メジャーなバンドだが、私がまだ十代の学生当時(1980年代後半~90年代前半)は、洋楽好きの中でも知る人ぞ知る・・・というか、かなりキワモノ的な扱いをされていた記憶がある。
私の周囲でも
「おい、レッド・ホット・チリ・ペッパーズって知ってるか?」
「知らん、どんなバンド?」
「何かアホな変態バンド」
みたいな、まるでヤバイものを取引きするかのように、キワモノな連中がヒッソリと話題にするようなバンドだったのだ。
レッチリのノリ
その当時というのは、バンドブームが去って、そこからヘヴィメタル中心の洋楽ブームみたいのが起きて、例えばガンズ・アンド・ローゼスとかボン・ジョヴィとかミスター・ビッグとか、ちょっと硬派な人だとメタリカとかスレイヤーとか・・・。
そこらへんが、私らにとっての「洋楽」だった。
まだ「オルタナ」とか「ミクスチャー」という言葉すら、知ってる人がほとんどいなかったこの当時、ファンクからの影響を前面に押し出したレッチリのサウンドは、明らかに他のメタル系やパンク系のバンドとは“違った何か”を感じさせるもだった。
もちろんその頃の私や同年代の連中は「ファンク」なんて知らなかったし、言われても想像すらできなかったわけで、そこらへんのニュアンスを「変態」という身近な言葉に置き換えてたのだが、この「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」という、やたら名前の長い(後に元ネタを知り納得する)このバンドの「タテノリじゃないカッコ良さと、パンクっぽいノリがごっちゃになった妙なサウンド」は、タテノリしか知らない私にとっては何だかとても新鮮であり、「もしかしたら求めてるものはこのノリの中にあるんじゃないか?」と、何となく思ってたりしていた。
フリーキー・スタイリー
今回ご紹介する『フリーキー・スタイリー』は、その時私がこよなく愛聴していたレッチリのセカンド・アルバム(1985年リリース)。
ファンク界のドン、ジョージ・クリントンがプロデュースし、全体的にまんべんなくファンクな音は、今のレッチリ(『ブラッド・シュガー、セックス・マジック』以降)のサウンドの、基軸になっているような気がする。
90年ぐらいまでの、もっとハチャメチャなアルバムもいいのだが、私の中で「レッチリ」といえば、どうしてもこのアルバムで聴ける非ロック的な音がぱぁ~っと流れてしまう。。。
よく車の中でガンガンに鳴らすが、今聴いてもちっとも懐メロに聴こえない。
『ブラッド・シュガー~』あるいは『カリフォルニケイション』以降レッチリのカッコ良さにシビレた方には特にオススメです。何度聴いても飽きませんよ♪
記:2014/09/26
text by
●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル)
※『南海日日新聞』2008年1月13日「見て、聴いて、音楽」記事を加筆修正